表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルコネクト 〜コミュ力 ゼロ、社会制 ゼロ、の社会不適合者にMMOの壁は高い〜  作者: 発条ザムライ
そらから、きたもの

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/66

友達作りは最初が肝心。



こちらが、起き上がるのを律儀に待っていてくれているらしい。

先程まであった、挑発的な発言が鳴りを潜めて、真っ直ぐこちらを向いている。


この場に居る物だけでも、3対2。縦ロールさんを除いて、弓使いも合わせれば、4対1。

不利だねぇ。でも、見方を変えれば、いきなり、4人と友達になれるかもしれないんだ。逃げる気はないね。

むしろ、チャンスだ。


それにしても、初手で切る羽目になるとは思わなかった。


HPゲージが、ミリ単位なのを確認しながら、そう考える。

頭を貫かれながら、生き残った理由。それは、所謂、鬼面の効果に他ならない。


本来なら、HPは全損して、リスポーンする羽目になっていた。

けれど、それをギリギリで生き伸ばせるスキルを持っているのが、鬼面の力によるものだ。

鬼面は、元々、2つのアイテムが1つの装備になっているせいか、装備効果を2つ所持している。ちょうど、鬼面を真ん中で2つに分かれている。2色。

赤と、青の色で能力が違っている。


今回発動したのは、青のスキル。


[身代鬼哭]。

HPが0になる攻撃を受けた時、HP1で耐えることができる。食いしばりの効果だ。それだげじゃなく、今わかったことだが、全能力が上昇している。もしかしたら、スキル発動によって全能力上昇の効果が乗るのかもな。もしくは、[過剰適応(オーバーフロー)]の様に、HPが減るほど能力は上がるのか。いや、あれは違うか…………。[過剰適応(オーバーフロー)]は制限時間が、HPの幅なのであって、HPの減る割合の幅が能力の上昇と関係はなかったか。要検証だな。


まあいい。今は、このスキルについてだ。


このスキルを発動して気づいてのは、クールタイムがクソ長いこと。たぶん、今回の戦闘でもう一度使えることは、ないかな。チラッと、見ただけで10分程はあった。1戦闘時間にしては長すぎる。長期戦を意識した戦いじゃなければ2回目の発動は絶望的だな。


そして、赤のスキルなんだが…………。


どうやら、奴さんらの作戦会議が終わったらしい。動き出そうとしている。

スキルは後回しだな。まあ、どうせ、鬼の紋章の検証はしなきゃならないんだ。それには、両方のスキル発動が必要になる。


向こう側が動いた。小さく位置を変えている。

武器を構え、仲間同士で視線を交わす。


「なるほど。」


なら、こっちも準備を終わらせるとしよう。

鬼面の検証。スキルの確認。

そして、友達作り。やることは多い。


ゆっくりと立ち上がり。


「さて。」


鬼面の奥で。


「仲良くなろうか。」


もちろん、向こうはそんなつもりではないだろうけど。












…………やっぱり、何らかのスキルなのかね。


矢が当たる瞬間に感じだ、思考が発言に集中するような感覚。それを思い出し、プレイヤーキラーを見つめる。


相手は何も喋らない。


なのに、目配せするだけで位置を変えたり、武器を構えたり。

元々考えていた作戦を伝えていたのか、今、この場で組み立てているのか。


どっちにしろ、後手に回るしかない。もし、こちらが攻め手に回った場合、囲まれてリンチに合うだけだからな。相手の作戦を最初に見切り、完璧に対処して、カウンターを決める必要がある。


ゲームの難易度が、2段階ぐらい上がった気がするぜ……。


初心者が、対。集団戦に慣れたプレイヤーキラー。冷静に考えると酷いマッチングだ。一歩間違えれば、いじめだぞ。

でも、これは仲良くなるための前準備だ。


さあ、魂の殴り合いだ。武器使うけど…………。


そんなことを考えていると、沈黙を破るように声が響いた。


「__どうやら、時間をもらちゃったみたいだけど、そちらから、攻めてもらってもよかったのよ。」


そっちこそ、変なことを言う。

掠っただけで、即リスポーンするような相手に、何を警戒してるのか。

まあ、即死する攻撃を食らっても、生き延びている程だもんな。怖いに決まってるか。


「__ブツブツと。何か喋っていたようだけれど、話す気はないそうね。警戒されちゃったわ。」


はは。また、変なことを言う。

コミュ障がそんな直ぐに問いかけを返せると思うかね。不可能さ。

一朝一夕で治ったら、コミュ障なんてレッテル貼られてないさ。


この場の沈黙が落ちる。互いに動かない。

空気だけが張り詰めていく。


そして。


「__やりなさい。貴方たち。」


その場に居た、2つの影が消える。

いや、高速で移動している。甲冑とフードを被った2人が、黒髪から左右に分かれて挟み込むように駆ける。


この挙動には、見覚えがある。

(とら)の時と同じ、目ですら捉えることの出来ない高速移動。


だが、俺の目線は対象(黒髪)に釘付けになっている。


対象は杖を持ち、口が動く。何かを喋ろうとしているが、詠唱時間(キャストタイム)より、この距離なら俺の攻撃の方が早い。近接の届く距離。数歩踏み込めば、武器の範囲以内。


円を描くような開いた、相手の軌道。

無防備な相手の、リーダー。出の遅い魔法の兆候。


狙いを定める。一歩。重心を前へ、踏み出し。


そして、


__まあ、罠だよね。


思考と同時。

高速で、飛翔する物体を捉え、身体の重心を変える。後方へ跳躍。

風を切る音が聞こえ、矢が地面に突き刺さる。土が跳ねるのを見て、確信する。弓使い。やっぱり、狙っていた。

着地と同時にインベントリを開き、取り出したナイフを、対象(黒髪)に投げつける。狙いは殺傷ではない。詠唱の妨害。


その間に、影が迫る。


左右から、高速移動していた二人が間合いへ入る。

インベントリから取り出した武器。今度は、ナイフじゃない物を取り出し。リーチ(攻撃範囲)に物を言わせた横薙ぎ。


風圧が唸りを上げ、2人の動きが止まる。

足の止まった相手。その隙へ追撃。再びナイフを投げつけ、強制的に下がらせる。そこで、動きが止める。


一連の攻防が終わり。静寂。プレイヤーキラーたちがこちらを睨む。


片手にはナイフ。

もう片方には()を携え。


鬼面の奥で口元が吊り上がる。戦いはまだ始まったばかりだ。

けれど、少しだけ確信している。


__案外、仲良くなれるかもしれない。


|《赤青鬼面・両面》

|赤と青、二つの色を宿した鬼面。

|中央から割れているにも関わらず、

|その断面だけは、不自然なほど綺麗に噛み合っている。

|赤は怒りを、青は慈しみを。だが、そのどちらも、

|既に原型を失って久しい。

|濁った双眸は、同じ方向を見据えている。

|互いを探すこともなく、

|ただ、その先にある何かだけを見続けていた。

|向き合うことを諦めたのか。

|あるいは。

|最後には、同じ景色を見ていたのか。

|誰にも、それは判別できない。

|二つの色は混ざり合わない。

|だが、最後まで並び立っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ