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スキルコネクト 〜コミュ力 ゼロ、社会制 ゼロ、の社会不適合者にMMOの壁は高い〜  作者: 発条ザムライ
そらから、きたもの

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野生のプレイヤーが現れた

PK。

プレイヤーキラーと称される者。プレイヤーを狩るプレイヤーを指す言葉。

多くのゲームでは嫌悪や忌避の対象として語られることも多いが、本来それはゲームシステムが許容した一つの遊び方に過ぎない。モンスターを狩る者がいるように、クエストに明け暮れる者がいるように、商売や生産に情熱を注ぐ者がいるように、彼らはただ、プレイヤーを獲物として選んだ。

それは、ゲームを楽しむ上での1つのプレイスタイルであり、別段非難されるものではない。少なくとも、この世界のルールにおいては。



「__あら、私の拠点で、好き勝手やってる方は、どなた?」


不意に響いたその声は、決して大きくはない。だが、その場にいた者達が反射的に動きを止めるには十分だった。まるで冷たい刃を首筋へ添えられたような錯覚。

騒がしかった空間から音が消え、張り詰めた沈黙だけが残る。


黒髪を揺らしながら現れたその人物は、一歩、また一歩と歩みを進める。

足音は響いているのに、意識はそこには向かない。その存在だけが妙に大きく感じられる。


そして何より目を引くのは、その頭上に浮かぶ名前だった。


赤。


プレイヤーキラーを示す色。

この世界で最も危険な連中の証。それが、当然であるかのように表示されていた。


その存在感が溢れ出すかのように、黒髪の人物の背後からさらに二つの影が姿を現した。

2人とも、頭をスッポリ覆うような被り物をしているせいで、”色”がわからない。1つは甲冑のようなもの、もう1つは、フードを奥目に被っていて表情すら読み取れない。


背後の二人は、目の前にいる黒髪の半分ほどの背丈しかない。

まるで、さっき戦った、鬼とゴブリンのような力関係。だが、そこには、恐怖や怯えが無く。

ただ、付き従う意思がそこにある。


だが、ここに現れた者たちは、何も語っていないのにも関わらず、そこには明確な敵意が宿っていた。


――これは、機嫌が悪い。


こちらも同様、頭の上には、赤色のプレイヤーネーム。

それは警告だった。この人物達が、既に数え切れないほどのプレイヤーを狩ってきた証明でもある。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆



仲間の一人が築き上げた私たちの拠点。その場所に戻ってくれば、目の前に広がっていたのは、見慣れた拠点ではない。崩れた壁。砕けた資材。無残に散らばる瓦礫の山。


そして、そこに当然のように居座る不法侵入者。


__本当に、何が起こってるんでしょうね。


元々、私たちは、この場所の黒い塔を攻略しようと、仲間の一人が保有するスキルによって築かれた簡易拠点。()()()()()出来る拠点を作りだした。死亡してもここへ戻って来られる。攻略の前線基地としては理想的な場所。

完成した直後までは。


突然、大地を揺らす衝撃。

嫌な予感を覚えた次の瞬間には、どこからともなくゴブリンの群れが溢れ出し。

さらに、鬼が現れた。巨大な金棒を振り回しながら、私たちの拠点を紙細工のように破壊。

状況整理のとも会わない中で、鬼との戦闘を余儀なくされ。


必敗。


傷一つ付けられなかった。勝てる見込みのなかった戦い。リスポーンして見れば、戻った場所は拠点ではなく、何らかの条件を満たせなくなったのか、別の場所へ飛ばされていた。

なんとか、仲間をそろえて、ゴブリンの波を搔い潜って、ようやくここまで戻って来れば、このありさま。


崩壊した拠点と、侵入者。


__でも、まだ、ツキは残ってる。


この惨状を作り出した原因。少なくとも、その答えを知る人物が目の前にいるかもしれないのだから。


「__ねえ、貴方なんでしょう。好き勝手やった張本人は。」


プレイヤネーム。キクシオ。

聞いたことの無い名前。でも、それは仕方のないこと、まだ、このゲームが始まってまだ、2日しかたってないから。

けれど、あれほどいたゴブリンと、何より、私たちが総力を挙げても傷一つ付けられなかった鬼を。

目の前の男は倒した可能性がある。


証拠なら、ある。嫌でも目に入る。何せ、身に着けているのですから。


「__そのお面。鬼のお面のようですけれど、おかしいわね。私たちと戦ったモンスターが同じ物を着けていた気がするのだけれど。」


不気味な人。赤と青の鬼の仮面に、虹色の髪。目立ちたがり屋なのかしら。

黙ってずっと、こちらを見据えている。その隣に居るのは、NPCだけど、その子には見覚えがあるわ。


仲間の誰かしらのクエストで、連れてきたものだった気がする。

その受け渡しの目印としても、この拠点だったのだけれど。脱走してるわね。彼が逃がしたのかしら。

だとしたら、ますます事情を聞く必要がありそうね。


「…………何か言ってくださる?」


相手は何も答えない。ただこちらを見ている。その沈黙が余計に不気味だった。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




キクシオは、背に冷たい感触が走るのを感じていた。

胸の奥で心臓が騒がしく鳴っている。耳には自分の鼓動ばかりが響いている。

これは、錯覚だ。実際に刃物で触れられているわけではないし、氷が背中に入ってきたわけでもない。

指先が震え、それを隠そうと拳を握るが、震えは止まらない。


それでも、明確にキクシオの身体は、その感覚に支配されている。


”緊張”。


ここで戦った、あらゆるモンスターと対峙した時よりも心臓がビビる程、頭に血が通ってない。

キクシオは、今、頭が、真っ白になっている。


___人に………話……かけられ……ちゃった。


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