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第三回

「で、出水君…、君、重くないかい?」

「えっ? 何がです? 別に…」

 出水は、妙なことを云う課長だ…と、怪訝けげんな表情をあらわにして、ふたたび上山を見つめた。その目線は、どことなく病人をる憐れっぽい眼差まなざしであった。

 海堂亜沙美かいどうあさみは机で書類のコピーに目を通していた。上山が社長室に呼び出される前に命じたものである。当の命じた上山は、出水に幽霊平林が乗っている姿を見てから気が動転し、亜沙美に命じたコピーのことなど、すっかり忘れて窓際の席へとうつろに座った。出水の肩に乗っていた幽霊平林は、いつの間にか亜沙美の横へと移動して、書類をうかがっている。その姿が課長席の上山には、やはりはっきりと見える。 ━ そういえば、奴は海堂にぞっこんだったな… ━ と、上山は思った。しかし、死んだお前が、どうなるもんでもなかろうが…とも、すぐあとに思えてきた。まあ、そんなことはさて置いて、奴に自分の云ってることが、また逆に自分に奴の声が聞こえるのかが急に気になりだした。そういや、今まで幽霊平林の姿に恐怖を覚え、声を聞いたことはなかったのだ。むろん、幽霊平林の方から上山に語りかけてきたこともなかった。このことは上山にとって、恐怖以外では最大の好奇心となっている。だが、その好奇心も、幽霊平林が眼前に現れると、恐怖が先立つから、すぐにえてしまう。ただ、声をかけたい…とは、絶えず上山が思うところだった。

 亜沙美の一挙手一投足を、すぐ横の机椅子に座って窺っていた幽霊平林が突然、フワッと宙を舞って移動し、あろうことか、課長席の上山の机へと舞い降りた。当然のことで、上山は恐ろしさに怖さも加わり一瞬、身の毛がよだったが、課員達に悟られてはまずい…という自制心が働き、平静を装った。

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