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二章 第五十五回

 次の朝、上山はいつものように田丸工業へ出勤した。

「課長! 先だっては、どうも有難うございました。これ、お口に合うかどうか分かりませんが…」

 新婚旅行を終えた岬が、幸せそのものの顔で課長席に近づき、上山に土産を手渡した。

「ああ…、有難う。亜沙美君、元気かい?」

「はい! なんとか、やってくれてます」

 海堂亜沙美は結婚と同時に寿ことぶき退社していた。

「そうか…、幸せなんだな。よかったよ、媒酌人としては…」

「はあ、どうも…。あっ! そうでした。そのお礼も申し上げておきます」

「…って、さっきのは何の礼だったの?」

「いや、あれは意味のない場当たり的な挨拶のお礼です」

「なんだ、ははは…」

 上山は、もらった土産の包み」を机の中へ収納しながら、そう云って笑った。この瞬間、すっかり幽霊平林のことを忘れている上山だった。

 昼休み、上山は食堂にいた。

「上山君さ、最近、疲れてんじゃない? 少し、けたわよ」

「大きなお世話だよ。吹恵ちゃんに云われたかぁ~ないな」

 笑いながらこんな馬鹿話を出来るのも、上山にとっては、この食堂賄い婦の江藤吹恵ぐらいのものだった。いつもの定食の配膳を返しながら、上山はそう云った。この時、上山は、すっかり幽霊平林のことを忘れていた。一方、幽霊平林は霊界番人の話を上山に伝えようと人間界へ移動しようとする矢先だった。むろん、人間界へ現れる上山との決めごとに変化はないのだから約束違反なのだが、そうも云ってられない…と、彼は判断したのだ。

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