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二章 第五十六回

 霊界から人間界の時間は分からないから、それを知るには何らかの方法を考えねばならない。幽霊平林も最初のうちは行き当たりばったりで人間界へ現れ、時間を確認しては、また霊界へ戻るという方法をとっていた。上山が呼ぶ場合には別に問題ないのだが、自分から現れるとなると、まったく分からないから、人間界の真夜中になることだってあった。そこで彼が考えたのが、霊水瓶かめだった。幽霊平林が住処すみかとする小屋の近くには上手い具合に霊水が湧き出ている小さな池があった。その水を住処まで引き、瓶へ溜めるのだ。すると、大よその増えた水嵩みずかさ量で、時の経過を知ることが可能となる。幽霊平林は、そう考えた。さすがに生前、田丸工業のキャリア組だっただけのことはある。人間界の中ではスゥ~っと透過して物という実体を感じない幽霊平林だが、霊界では生前と同じで実体を感じられるのだ。そんなことで、彼は霊水が湧き出る小さな池から住処すみかまでの細い水路を作り始めた。久しぶりに肉体労働をする…と、人間界ではとらえるが、疲れという感覚がない霊界では、至極スムーズに作業は終息した。汗も出ず疲れもなく、スイスイと順調に事は運んだ。形状が自由自在に変えられる無色で輝く道具や作業衣は幽ークマンという店で手に入った。もちろん、霊同志は、よほどの理由がないかぎり、直接は会えないという霊界の決めがあるから、間仕切り板を挟んで声のみのり取りとなる。さらにお金は、いらないから、物品についた品番伝票を外して仕切り板越しに手渡し、控え票をもらう仕組みになっていた。売上げが多いと、お金ではなくその伝票のポイントにより霊力が高まり向上するという俗世的システムだった。その係となる霊のみは、他の霊との応対時のみ霊体ながらも現世の姿をあらわにすることを許され、作業に従事していた。

『なくさないように…』

『はい…』

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