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二章 第三十七回

「いや、なんでもない。そんなことは、どうでもいい! はやく、あっちへ行けよ!」

 理由は分からないのだが、上山は少し怒れてきた。

『はい! それじゃ…』

 幽霊平林は、言葉と同時にパッ! と消えた。

 ここは霊界である。現れた幽霊平林は住処すみかへと戻った。住処とはいっても、食べることも眠ることも必要ない幽霊社会では、ただ体を止めるだけである。いわば、完璧な写真状態へと数時間、移行するだけである。疲れはないから、ただ安息の気分を味わうだけなのである。幽霊平林は住処へ入ると、手に持ったマヨネーズを棚へと置いた。相変わらず体は止まれないから右や左へフワリフワリと浮きながら漂っていた。その時、外に妖しげな一条の光が射した。その光は、どこから射すというのではなく幽霊平林の住処へと降り注いだ。まぎれもなくこの光は霊界番人が現われる前兆で、幽霊平林は、いささか緊張した。霊界番人は滅多なことでは現れないからだ。

『…霊界番人様だ! 何かお叱りを頂戴するんだろうな…』

 幽霊平林は一瞬、身震いした。幽霊でも身震いするのである。ただ、人と違うのは、地面に足が着いていない状態で、フワリフワリと浮きながら漂っているという状況の違いはあった。

 幽霊平林が思わずつぶやいたとおり、しばらくすると霊界番人らしき光の輪がスゥ~っと現れた。彼の周りだけは蛍火のようにポォ~っとほのかに明るかった。

『どうも気になったので、寄ってみたぞよ』

 滑川教授よりもはるかに上から目線の語り口調で、霊界番人の口からまず出たのは、そんな言葉だった。落ちついて聞けば、そんな大した内容ではなく、人間界ならごくフツーの言葉なのだが、霊界では少し状況が違った。まず、霊界番人の声は響くのである。しかも、少しエコーして反響するのだった。次に違うのは、威圧感だ。光のみで姿がない光の輪なのである。

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