二章 第二十一回
「機械が故障した? …いや、そんなことは考えられん。昨日、点検したばかりじゃからのう。どうもその辺りに何かあるような気がしてならん」
「はい、私もそう思います…」
二人は腕組みをすると沈黙した。幽霊平林も遅れて腕組みをした。三人は妙な具合に意気投合したのだった。その後、上山は滑川教授に、「一週間ほどしたら電話しますから…」と云って研究所を出ようとした。当然、幽霊平林も追随した。
「いや! 何かあれば、こちらからも電話しよう!」
教授は古めかしいダイヤル式の黒電話を指さして、そう云った。以前にもあった、今ではもうレトロ的価値が相当高くなっている非製造の電話機だった。
上山は教授の声にギクッ! として立ち止まると、「はあ、よろしく…」とだけ返した。幽霊平林は止まらず、プカリプカリと不安定に浮かんでいるだけである。まあ孰れにしろ、今の彼は完璧に停止出来ない状況にあるのだから、同じことなのだが。
言葉どおり、教授から電話が入ったのは、その二日後だった。上山としては、半分方は駄目だろう…と踏んでいたから、正しく、案に相違して、と云えた。
「おお、いたいた…。上山君かね?」
そりゃ、いますよ! と、喉まで出かかった上山だったが、そこはグッ! と堪えて携帯を握った。生憎、仕事中で、目の前には部下の社員達が仕事をしていた。
「はい。…何か」
「何か? とは、偉くよそよそしいじゃないか。ははは…分かったんだよ、分かったんだ」
「えっ? よく分からないんですが…。仕事中ですので、要点を纏めてお願いします」
「ああ、そうだったか…、こりゃ悪かったな。あの土に、君と、それ誰だったかな、…そうそう、平林君だったか。その彼と君との因縁を起こしている細粒物質が発見されたんだ」
「細粒物質ですって? 本当ですか?」




