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二章 第九回

 その空き地は雑草が茂るでなく生えていた。茂るでなく、というのは、それなりに除草もされ、手入れされていることを意味する。

「ここの土地を使われてる、って訳ですね?」

「ええ、まあそうです。ほれ、すぐそこが少しくぼんでおるでしょ」

 住職は空き地の片隅を指さしながら、手提灯てぢょうちんを幾らか持ち上げ、照らした。上山と幽霊平林は、その一点に目を凝らした。

「ああ、確かに…。で、おもち帰りの量は?」

「ははは…量などと呼べるものじゃないんですよ。ほんのひと握り、手の平に乗るくらいですから…」

「なんだ、その程度でしたか」

「んっ?!」

 その時、住職が暗い空を見上げてつぶやいた。

「ご住職、どうかされましたか?」

「いやなに…、今、青火が見えたような…」

「ははは…、悪いご冗談を。そんな馬鹿な話はないでしょ。気のせいですよ」

 危うい! とあわてた上山は、すぐに否定して取りつくろった。その上で漂う幽霊平林は、しまった! と、ばかりの、しかめっつらである。束の間の興奮により青火が頭上に灯ったのだ。幽霊に恐怖心はないものの、この場合の幽霊平林は少し顔の青さを増して蒼ざめた。上山は、なにしてんだっ! と一喝しそうになる口をグッ! とつぐんでえた。その瞬間、幽霊平林と目線がピッタリ合ってしまった。上山が睨むと、幽霊平林は気不味まずさからか、目線を落とした。

「いや、自慢じゃないんですが、この舞台寺は時々、出るんですよ、人魂が。私も何度か目にしております。最近では、名物と申しますか、世間の評判にも…」

 住職は暗い闇を見ながら、そう云った。そういや、交番でもそう云ってたな…と、上山は思った。

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