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二章 第三回

『課長! 怖くないですか? もう夜ですよ。出直しません? 僕、こういうの、からっきしなんです…』

「馬鹿を云っちゃいかん! 私が怖がらないで、幽霊の君が怖がって、どうする!」

 上山は幽霊平林を一喝したが、内心ではやはり少し、びくついていた。

「はあ、これはどうも…」

 幽霊平林は、少し声を小さくした。

 二人…やはりここではそう云っておこうと思う。いつぞやも云ったと思うが、この場合を正確に表現するなら、一人と一霊と云うのが正しいのだが、えて二人と表現することで続けたい。

 さて、その二人は人通りのある街路の方へと歩いていったり流れていった。つくだの家近くの空き地は市街地より少し離れていたからである。佃の家には、灯りが灯っていたが、上山は寄らずに通過し、記憶にある交番を目指した。幽霊平林は、ただ従って、スゥ~っである。

 上山が目指す交番は、十分ばかりのところにあった。交番の中では不謹慎にも年老いた巡査姿の男がウツラウツラと首を縦に振っていた。近づく上山は、思わず笑えてきた。というのも、その巡査はウツラウツラとしているにもかかわらず、器用にも手に持ったボールペンは、しっかりと手放していなかったのだ。かといって、完璧に、うたた寝状態で、意識は遠退いているのだった。入口で思わず立ち止まった上山は、戸を開けずそのままその場にたたずみ、巡査の様子を眺めていた。もちろん幽霊平林にもその光景は見えている。しばらくウツラウツラを続けていた巡査は、ついにピタッ! と動きを止めると、そのまま机へ崩れ落ちることもなく、これもまた器用に首を項垂うなだれた状態で寝入ってしまった。右手に持ったボールペンは、その手首だけ見れば今、書いているような状態で、なんの違和感も与えない。

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