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第百一回

「なるほど…。それで、おたずねの方法なんですが。これには上山さんの努力もいると申しておきましょう。ただ、フツーに戻られれば平林さんとは別れることになりますが、その辺りは、よろしいんでしょうか?」

「はあ…。だからえて、戻りたいとは思っていないんです。ただ、霊界の方へこれ以上、引き込まれて、人の姿が見えなくなる、ってのは困るんですよ」

「分かれました。現状維持ですね? それに見合った方法を私達の研究所でなんとかしましょう」

「はあ、よろしくお願いします」

 上山は何をお願いしているのかが分からないままつくだ教授に依頼していた。

 佃教授の研究所で使用されているゴーステンなる物質が霊動に関係していることは上山にも分かっていたから、上山としてはその辺りに解決の糸口があるのだろう…と踏んでいた。上山が佃教授の研究所を去った頃、幽霊平林にひとつの異変が起こっていた。それも、やはり霊動物質ゴーステンの為せるわざであった。

 幽霊平林に異変が起こったのは、上山が生きている人間界ではない。もちろん、霊界である。寂々(じゃくじゃく)とした霊界で幽霊平林は、いつものように浮遊して住処すみかへ帰ってきた。霊界とて人間界と、さほど変わりもなく、人並みのインフラは整っている。ただ、新入りの幽霊平林は、幽霊としては下層に位置し、小屋のようなボロ暮らしであった。そうは云っても、食事や世間の付き合いなどがない点は、人間界とはまったく異質だった。その霊界へ帰ってきた彼だが、どういう訳かいつにも増して浮遊力がみなぎったのだった。尋常ではない異変が彼に起きたのである。なんの前ぶれもなかったから幽霊平林は面食らった。加えて、どうも身体が火照るのだ。長らく忘れていた生きていた頃の、溌剌はつらつとした生気せいきが充ち溢れたのだ。

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