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第五話 残されたもの
第五話 残されたもの
戦が終わった。
戊辰の動乱は幕を閉じ、時代は大きく姿を変えた。
徳川の世は終わり、新たな政府のもと、日本は近代へと歩み始める。
かつて新撰組が駆け抜けた京都の町も、静けさを取り戻していた。
壬生の屯所は、もはや隊士たちの声が響くこともなく、ただ風が通り抜けるのみである。
近藤勇はすでにこの世を去り、
土方歳三もまた北の地で命を落とした。
沖田総司も、病により若くしてその生涯を終えている。
だが――彼らの名は消えなかった。
ある者は語り継ぐ。
「京の町を守った剣士たちがいた」と。
ある者は畏れる。
「法を破れば、鬼の副長が現れる」と。
そしてある者は、静かに敬意を抱く。
「己の信じる義のために生き、そして散った者たちがいた」と。
時代が移り変わる中で、かつての敵も味方も、その境界は曖昧になっていく。
しかし、新撰組の名だけは、特別な響きをもって人々の記憶に残り続けた。
剣に生き、剣に死んだ者たち。
その生き様は、勝者でも敗者でもない。
ただ――己の信じる道を貫いた者の姿であった。
風が吹く。
それはまるで、遠い日の屯所で交わされた声のように、かすかに響く。
笑い声、剣の音、仲間を呼ぶ声。
新撰組は消えたのではない。
その魂は、時代を越えて、今もなお――
人の心の中に生き続けている。




