第六話 時代を越えて
第六話 時代を越えて
明治という新しい時代。
刀は廃され、武士の姿は町から消えていった。
かつて剣を誇りとした者たちの時代は、静かに終わりを告げたのである。
京都の町もまた、変わっていった。
新しい建物、人々の装い、聞き慣れぬ言葉。
だが、変わらぬものもあった。
壬生の地――
かつて新撰組が駆け抜けた場所に立つと、どこか空気が違う。
そこを訪れた一人の男が、足を止めた。
何気なく立ち寄ったその場所で、理由もなく胸がざわついたのだ。
「ここは……」
言葉にはならない。
だが、確かに“何か”を感じる。
耳を澄ませば、聞こえぬはずの音がする。
剣がぶつかる音。
誰かの叫び。
そして――仲間を呼ぶ声。
それは幻か、それとも記憶か。
新撰組は、確かにここにいた。
この場所で生き、この場所で笑い、この場所で戦った。
名もなき男は、しばらくその場に立ち尽くした。
やがて小さく頭を下げ、静かにその場を去る。
理由は分からない。
だが、それが当然のように思えた。
時代は変わる。
だが、人の想いは消えない。
義を貫こうとした者。
仲間を信じ、命を懸けた者。
その生き様は、言葉ではなく、空気として残る。
風が吹く。
それは遠い昔、壬生の屯所を駆け抜けた風と同じものかもしれない。
新撰組という存在は、もはや歴史の中の出来事でしかない。
だが――
その魂は、確かに今もここにある。
そして、それを感じ取る者がいる限り、
彼らは決して消えることはない




