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領民0人スタートの辺境領主様 外伝集  作者: ふーろう/風楼


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コミカライズ15巻 発売記念SS



――――ディアスのユルトで ユンボ



 ここ最近のユンボは、あることに挑戦し続けていた。


 それはディアスの黄金鎧を借りて着込むというもの。


 ディアスから直接借りる場合には何の問題もないのだが、無断となると鎧がそれを攻撃と判断するのか力が発動、そうして弾かれてしまって上手くいかない。

 

 別にディアスに頼んでも良いのだが、しかしそうするのは何か負けた気がして、あえてディアスに頼むことはせずに無断で、こっそりとユルトに侵入しては飾ってある鎧への突撃を繰り返していた。


 そうなれば当然鎧は力を発動、ユンボを大きく弾き飛ばすので近付くことすらままならない。


 何度やっても、何度挑戦しても無理、鎧はそれを攻撃と判断し続ける。


 何度も何度も何度も……しかしそうするうちにユンボはあることに気付く、これは面白いのではないかと。


 上手くこれを利用したなら、角度を調整したなら、何か面白いことになるのではないか?


 そう考えてユンボは、外で力仕事をしているディアスの下へと駆けていく。


 鎧の一部でいいから貸して欲しい、それを広場の適当なとこに置いて欲しい。


 そんな頼み事を受けてディアスは、特に気にした様子もなく快諾、手に取りやすいからと兜をつかみ、広場へと持っていって、そっと地面に置いてくれる。


 それを受けてユンボは兜から距離を取り、一気に駆けて飛び上がり、可能な限り真上から兜へと飛び込む。


 すると力が発動し、ユンボは真上へと弾き飛ばされる。


 弾き飛ばされて両手両足を広げて、また兜へと落下しまた弾かれ、そのままユンボは傍目にも楽しそうな愉快な状況を楽しみ始める。


 バランス感覚が良いのか、何度繰り返しても動きがブレることはなく、何度も何度も楽しげに弾み、周囲から感嘆の声が上がる。


 そしてディアスもが声を上げる。


「その発想はなかったなぁ、青空の下でやれば日光も補充されるし、かなり長い時間楽しめそうだが……魔力はどうするんだ?

 オリハルコンの装備は魔力と日光があってようやく力を発揮するんだぞ? 魔力が切れたらそのまま落ちて……その、兜の角に刺さらないか?」


 瞬間、ユンボの顔が絶望色に染まる。


 そこまでは考えてなかった、想像もしていなかった。


 大慌てで空中でジタバタと手を動かして軌道を変えようとする。


 ……が、それが上手くいくよりも早く弾く力が弱まっていって、魔力残量がないのか黄金の輝きも失われていく。


 これはヤバい!!


 と、大慌てでユンボは体を動かし続け……そうしてついに落下のときがやってくる。


 ギリギリの所で間に合った。


 そうとしか言えない本当にギリギリ、ユンボが落下したのは兜の真上で、どうにかギリギリその上に落下するという惨劇を回避することになる。


「……子供が真似すると危ないから、これからはそれは禁止な」


 そしてディアスがそう言ってきて……それにトドメをさされたユンボは、地面の上に両手両足を広げながらぐったりとし、次こそは上手くやってやるとそんなことを考えながら、静かなため息を吐き出すのだった。


お読みいただきありがとうございました。


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