第六話 三顧の礼
日の本の国から戻ってきたコメと白飯。
二人は、しばらく無言で歩いていた。
「……コメ様」
「なに、白飯ちゃん?」
「さすがに、初対面でおばさん呼ばわりするのは失礼すぎですよ」
「だってぇ……」
コメは頬を膨らませた。
「ロリ美少女が出てくると思ったんだもん!」
「そんな理由で怒らせたのですか……」
白飯は、深いため息をついた。
「それで、これからどうするんですか? 日の本の国は諦めますか?」
「うーん……」
コメは腕を組んで考え込んだ。
「でもさ、私みたいな幼児体型が好まれる土地って、ほかにないと思うのよね」
「コメ様……」
「せっかく見つけたのに、ここで諦めるのはもったいないじゃない!」
コメは、ぐっと拳を握った。
「よし! あのオバサンに謝りに行こう!」
「…………」
白飯は、そっと目を閉じた。
「……コメ様」
「なに?」
「また、おばさんって言ってます」
「はっ!?」
コメの叫びが響き渡った。
◇
そして、再び日の本の国。
コメと白飯は、アマテラスを呼び出した。
現れたアマテラスは、般若のような表情をしていた。
「ひっ……!」
コメは思わず後ずさった。
「きょ、今日は、その……お姉さまに謝りたくて……」
「ほう?」
アマテラスは、にっこりと笑った。
「ロリ美少女が出てくると思っていたのに、期待外れで悪かったな」
「…………えっ?」
コメの顔が固まった。
「な、なんでそれを!?」
「アンケート機能の応用だ」
アマテラスは涼しい顔で答えた。
「君たちの会話も、しっかり聞かせてもらったぞ」
「バレテーラ!!」
コメが叫んだ。
「ちょ、ちょっと待って! 今のは違うの! 私はただ、日の本の国の可能性を……!」
「帰れ」
「えっ?」
「帰れぇぇぇ!!」
アマテラスの怒声が響き渡った。
次の瞬間、コメと白飯の姿は、その場から消えていた。
「まったく……。誰がロリ美少女だ」
アマテラスは、こめかみを押さえた。
そして、静かにつぶやいた。
「……私は、お姉さんだ」
◇
日の本の国から、再び追い返されたコメと白飯。
二人は、とぼとぼと帰り道を歩いていた。
「もう! アマテラスってば、怒りすぎだよぉ!」
「コメ様が余計なことを言うからです……」
「余計なことって何よ! 私はただ、ロリ美少女が……」
「その話はもうやめましょう」
白飯がぴしゃりと言った。
「うぅ……」
そのとき、道端に座っていた一人のおじいさんが、突然つぶやいた。
「伏龍、鳳雛を手に入れれば、天下は我が手中よ……」
「…………」
コメと白飯は、足を止めた。
「……何、今のおじいさん?」
「さあ……?」
二人は顔を見合わせた。
「変な人だったね」
「そうですね……」
二人は首をかしげながら、その場を後にした。
その背後で、おじいさんは満足げに笑っていた。
「ふふふ……。天下は、我が手中よ……」
二人は知らなかった。
この言葉が、ただの作者の趣味であることに。
◇
日の本の国から、再び追い返されたコメと白飯。
二人は、とぼとぼと帰り道を歩いていた。
「……そういえば、白飯ちゃん」
「はい、コメ様」
「有名な人って、三回訪ねたら言うことを聞かなきゃいけないっていうルールがあるんでしょ?」
「ありませんよ!?」
白飯は、思わず声を上げた。
「ええっ!? ないの!?」
「誠意を持って三回お願いすることで、相手に誠意が伝わるという例えですよ!」
「ふむふむ……」
「誠意がなければ、何回訪ねたって断られますよ!」
「…………」
コメは、しばらく考え込んだ。
「……よし、もう一回行ってみよう!」
「コメ様! 今の話、聞いていましたか!?」
「大丈夫! 今度こそ誠意を見せるから!」
「……多分、無理だと思いますけどねぇ」
白飯は、深いため息をついた。
こうして、コメは再び日の本の国へ向かうこととなった。
◇
そして、三度目の日の本の国。
コメと白飯は、再びアマテラスの前にやってきた。
「また来たのか……」
アマテラスは、呆れたように二人を見つめた。
「アマテラス様! 今日はお願いがあって来ました!」
コメが勢いよく頭を下げる。
「……いいだろう。お前の頼みを聞いてやる」
「「えええええっ!?」」
コメと白飯は、思わず顔を見合わせた。
「お、怒ってないの!?」
「許してくれるんですか!?」
アマテラスは、ぴくりと眉を動かした。
「許しているわけがないだろう」
「ですよねぇぇぇ!!」
「しかし……」




