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穀物三国志 ~誰も知らない弱小神の野望~  作者: kammy


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第五話 変態の国

西アジアでムギに敗れたコメ。


しかし、彼女は勢力拡大を諦めてはいなかった。


次なる目標は、さらに西。


ヨーロッパへの進出である。


……だが、その結果は散々なものだった。


「そういえば、コメ様。ヨーロッパへの進出はどうなったのでしょうか?」


「……あそこはダメ」


「そうですね……」


コメと白飯は、遠い目をした。


「麦は強いし、稲は育ちにくいし、アンケートはひどいし……」


「作るのも大変でしたね。収穫した後の処理も面倒でしたし……」


「そうなのよぉぉぉ!! 苦労して作っても、すぐ枯れちゃうし!」


コメは頭を抱えた。


「しかも、東の果てには冬将軍とかいう、髭もじゃの筋肉おじさんまでいたのよ!!」


「……あれは、本当に恐ろしかったですね」


白飯も顔を青くした。


「もう二度と会いたくないぃぃぃ!!」


「私もです……」


二人は、固くうなずき合った。


「それに、アンケートには『幼児体型はちょっと……』って!」


「コメ様、それはヨーロッパ遠征とは関係ないのでは……」


「うるさーい!!」


「……そういえば、コメ様」


「なによぉ……。まだ何かあるの?」


「東アジアのさらに東に、島国があるそうです」


「島国?」


「はい。そこに住む猿たちは、幼児体型を好む者が多いとか……」


「…………えっ?」


コメの動きが止まった。


「白飯ちゃん。それ、本当?」


「噂ですので、確かなことは分かりません。ただ……」


白飯は、少しだけ言いよどんだ。


「いろいろな意味で、変わった趣味を持つ猿たちが住んでいるそうです」


「…………」


コメは、ゆっくりと顔を上げた。


「……そこ、行くわよ」


「コメ様!?」


          ◇


東アジアのさらに東。


海を越えた先に、その島国はあった。


日の本の国。


コメと白飯は、さっそくこの国を治める神に会いに行くことにした。


やがて二人の前に、一人の女性が現れた。


艶やかな黒髪。気品あふれる佇まい。そして、思わず見とれてしまうほど美しい顔立ち。


まさに、絶世の美女である。


「私はアマテラス。この日の本の国を見守る者です」


アマテラスは、優雅に微笑んだ。


「えええっ!?」


コメは目を丸くした。


「幼児体型が好きな猿たちの国って聞いてたのに、おばさんじゃない!」


「…………」


アマテラスの笑顔が、ぴたりと止まった。


「おば……さん……?」


「えっ?」


「おばさん、だと?」


ゴゴゴゴゴ……!


アマテラスの周囲に、恐ろしい気配が立ち込めた。


「ちょ、ちょっと待って! 今のは違っ……!」


「確かに、君のような幼児体型が好まれている変態の国だということは認めよう」


アマテラスは、にっこりと笑った。


目はまったく笑っていなかった。


「だがな……」


「は、はい……」


「私は、おばさんではない!!」


アマテラスの怒声が響き渡った。


「お姉さんだ!!」


「ひぃぃぃぃぃ!!」


コメは白飯の後ろに隠れた。


「白飯ちゃぁぁぁん!! この神、怖いよぉぉぉ!!」


「コメ様……。初対面でそれは、さすがに失礼かと……」


「だってぇぇぇ!!」


そして、初めての邂逅は喧嘩別れとなった。

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