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エピローグ 受け継がれる剣

 ――十年後。


 魔剣流道場は、王都ローズガーデンを離れ、故郷ベルフォン村へ戻っていた。


 かつて門下生が一人もいなかった小さな道場。


 今では数多くの門下生が集い、朝から元気な掛け声が村中へ響いている。


「やあっ!」


「せいっ!」


 道場の中央では、一人の男が門下生たちを静かに見守っていた。


 魔剣流宗家。


 アデラーン・グランディス。


 かつてアルベール流本部道場で宗家公認の昇段試験に挑み、その実力を認められた男。


 その後も研鑽を重ね、今では魔剣流六段・練士師範となっていた。


 その傍らには、三人の愛弟子が立つ。


 セリーヌ。


 リュカ。


 リリア。


 三人とも暗黒魔剣を修得し、魔剣流四段・師範となり、今では門下生たちを指導する立場となっていた。


「そこ!」


「腰が浮いています!」


 セリーヌが優しく声を掛ける。


「もっと相手全体を見ろ!」


 リュカが力強く指導する。


「焦らなくて大丈夫ですよ」


 リリアも一人ひとりの構えを丁寧に正していく。


 三人は、誰もが認める立派な師範へと成長していた。


 その様子を見ながら、アデラーンは静かに頷く。


 もう、自分一人で魔剣流を支える時代ではない。


 頼もしい弟子たちが育ってくれた。


 そして――。


 門下生たちの輪の中には、小さな男の子と女の子の姿もあった。


 二人は夢中になって木剣を振っている。


 男の子はセリーヌによく似た優しい笑顔。


 女の子はアデラーンによく似た凛々しい眼差し。


「もう一回!」


「負けない!」


 無邪気な声が道場いっぱいに響き渡る。


 縁側では、その様子をセリーヌが穏やかな笑顔で見守っていた。


 アデラーンもその隣へ腰を下ろす。


「賑やかになったな」


 セリーヌは優しく微笑む。


「はい」


「先生のおかげです」


 アデラーンは静かに首を横へ振った。


「違う」


「皆で築いた道場だ」


 二人は子どもたちを見つめながら、静かに微笑み合う。


 ロランからアデラーンへ。


 アデラーンからセリーヌ、リュカ、リリアへ。


 そして、その先の世代へ。


 魔剣流は――


 弱き者が強き者を打ち倒すために。


 弱き者を護るために。


 その剣は。


 その想いは。


 今日もまた、静かに、そして力強く、次の世代へ受け継がれていくのであった。

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