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第47話 双子と帰郷

 王都ローズガーデン。


 王立士官学校。


 三年間に及ぶ学生生活を終えた双子、リュカとリリアは卒業式を迎えていた。


 二人は首席級の成績で卒業。


 さらに王国剣術大会では、それぞれ男女優勝という快挙を成し遂げる。


 卒業式を終えた帰り道。


 二人は王都の酒場で食事を取りながら、これからの進路について話し合っていた。


 その時だった。


「あの黒衣の剣士、また魔物を一瞬で倒したらしいぞ。」


「隣にいるのは現役の金ランク冒険者、セリーヌ・ブランシュだ。」


「聞いた話じゃ、不思議な魔法剣を使うらしい。」


「魔剣流っていう流派なんだと。」


「何やら風の噂では、ローズフィールド王国騎士団の剣術指南役まで務めているらしいぞ。」


「騎士団の指南役まで?」


「一体何者なんだ、あの黒衣の剣士……。」


 思わず二人は顔を見合わせた。


「……魔剣流?」


 リリアが目を丸くする。


「先生だけじゃない……。」


「セリーヌさんも一緒なんだ。」


 リュカも静かに頷いた。


「ああ。」


「先生が王都で道場を開いた話は聞いていた。」


「まさか冒険者として活動しながら、騎士団の剣術指南までされているとは……。」


 リリアは嬉しそうに立ち上がる。


「行こう、お兄ちゃん!」


「先生に会いたい!」


「ああ。」


 二人は酒場を飛び出した。


 街の人々へ道を尋ねながら歩き続ける。


 やがて、一軒の道場へ辿り着いた。


 門には力強く刻まれた文字。


 ――魔剣流道場。


「ここだ!」


 二人は門をくぐる。


 庭では、一人の男が木剣を振っていた。


 無駄のない太刀筋。


 流れるような足運び。


 何十年という歳月、基本を積み重ねた者だけが辿り着ける、美しい剣。


 三年が過ぎても、その姿は何一つ変わっていなかった。


 アデラーンは気配に気付き、ゆっくりと振り返る。


 一瞬、静寂が流れる。


「先生!」


 二人は同時に駆け寄り、深く頭を下げた。


「リュカです!」


「リリアです!」


「ご無沙汰しております!」


 アデラーンは静かに二人を見つめる。


 幼かった双子は、立派な青年と少女へ成長していた。


 思わず目を細める。


「ああ。」


「久しぶりだな。」


 短い言葉。


 しかし、その声には隠しきれない喜びが滲んでいた。


 その時、道場の中からセリーヌが姿を現す。


「あっ!」


「リュカさん!」


「リリアさん!」


「お久しぶりです!」


「セリーヌさん!」


 リリアは嬉しそうに駆け寄る。


「本当に先生と一緒だったんですね!」


 セリーヌも笑顔で頷く。


「はい。」


「今は先生と一緒に冒険者として活動しています。」


 リュカは穏やかに微笑む。


「王都中で話題になっていますよ。」


「黒衣の剣士と、金ランク冒険者の美人剣士。」


「魔剣流の名も少しずつ広まっています。」


 その言葉を聞いたアデラーンは、小さく微笑んだ。


「そうか。」


 セリーヌもどこか嬉しそうだった。


 魔剣流を広めるために始めた冒険者生活。


 その努力は、確かに実を結び始めていた。


 アデラーンは静かに二人へ問い掛ける。


「お前たちはどうだった。」


 リュカは姿勢を正す。


「士官学校は首席級で卒業しました。」


 リリアも胸を張る。


「王国剣術大会でも、男女それぞれ優勝しました!」


 セリーヌは思わず拍手した。


「おめでとうございます!」


 アデラーンは静かに頷く。


「よく頑張ったな。」


 その一言に、二人は自然と笑みを浮かべる。


「ありがとうございます!」


 アデラーンは成長した双子を見つめ、小さく微笑んだ。


 幼い頃。


 泣きながら木剣を振った日々。


 何度転んでも立ち上がり、基本を積み重ねた日々。


 そのすべてが昨日のことのようによみがえる。


(立派になったな……。)


 その眼差しは、厳格な師範というより、成長した我が子を見守る父親そのものだった。


 こうして、魔剣流道場に再び四人が揃う。


 師から弟子へ。


 受け継がれた剣は、新たな世代とともに、さらに未来へ歩み始めるのだった。

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