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第25話 厳しい流派

 魔剣流道場を開門して二週間。


 ついに、五人の体験入門者が道場の門をくぐった。


「よろしくお願いします!」


 若い剣士たちは希望に満ちた表情で頭を下げる。


 その姿を見たセリーヌは思わず笑顔になった。


「先生!」


「五人も来てくださいました!」


 アデラーンも静かに頷く。


「ああ」


「一人でも来てくれたことが嬉しい」


 こうして、初めての稽古が始まった。


 最初に教えられたのは剣術ではない。


 礼法だった。


 道場へ礼。


 師へ礼。


 相手へ礼。


 一つひとつ丁寧に教えていく。


 続いて素振り。


「まずは千本だ」


「せ、千本ですか……!」


 入門者たちの表情が引きつる。


「一本一本、全力で振れ」


 やがて全員の腕が震え始めた。


 休憩を挟むと、今度は基本五型。


 一のいちのけん――崩剣ほうけん


 二のにのけん――返月へんげつ


 三のさんのけん――流風りゅうふう


 四のよんのけん――横掃千軍おうそうせんぐん


 五のごのけん――退歩蔵鋒たいほぞうほう


 何度も。


 何度も。


 繰り返す。


「今日はここまでだ」


 夕方。


 五人は疲れ切った様子で道場を後にした。


 翌朝。


 セリーヌはいつものように門を開け、彼らを待った。


「そろそろ来る頃ですね」


 しかし――。


 五人の入門者が、再び魔剣流道場の門をくぐることはなかった。


 セリーヌは少し寂しそうに門の外を見つめる。


「皆さん、辞めてしまいましたね……」


 アデラーンは穏やかに微笑んだ。


「魔剣流は近道のない剣だ」


「地道な積み重ねを嫌う者には向かん」


「だが、その積み重ねを続けられる者だけが、本当に強くなれる」


 セリーヌは静かに頷く。


「はい」


 門下生は、再びゼロになった。


 それでもアデラーンは焦らない。


 魔剣流とは、基本を積み重ねる剣。


 人を育てることにも、また近道はない。


 師弟は今日も変わらず木剣を握り、未来へ受け継ぐ一太刀を積み重ねていくのだった。

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