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初恋の名前
しばらくは、しゃくり上げる彼女を抱き締めながら、喜びを噛み締めていた。
少しずつ落ち着きを取り戻していく彼女の体温が、堪らなく愛おしいものに感じていた。
「えへへ……ごめんね、泣いちゃって。ねぇ、フミトくん。」
目を赤く泣き腫らした彼女が、言いにくそうに身をよじりながらオレの名前を呼ぶ。
「なんですか、由美子さん。」
「もう、敬語は終わりにしよ? つ、付き合うんだもん、敬語とか、さん付けとか、やめて、欲しい、かも……。」
みるみる内に頬を紅潮させながら、小さく口を窄めて、可愛らしい願いを口にする。
たまらなく愛おしくなって、もう一度抱き締めながらその耳元で囁くように、その名前を呼ぶ。
「わかったよ、由美子さ……由美子。これから、改めてよろしくね。」
「……! うん、うん!
こちらこそ、これからもよろしくね、
フミくん!」
「フミ、くん?」
「うん、フミくん! 私だけの特別な呼び方!」
照れたように、少しだけ舌を出して笑う彼女。
その笑顔に負けて、許してしまう。
「なんだか、照れくさいね。」
「ふふ、ダメだからね? 私だけの特別なんだから! 他の人に、絶対呼ばせちゃだめだからね!」
こうして、オレたちは恋人同士になれた。
この恋の結末が、残酷なものになるとは思いもしないで。




