~第2幕~
日本音楽業界でストリーミングが盛況しだした時に成功したアーティストがジストペリドと奥沢芽衣だとされる。奥沢は「Nasty Guy」という曲が日本だけでなく海外でもウケを獲る。語学堪能な彼女は1つの曲をだしたときに英語版や韓国語版の曲もリリースされるのだが、その英語版が英国と韓国のチャートで1位を獲るという前代未聞の快挙を達成した。
丁度その時に俳優としてデビューしたことも重なる。テレビ帝都の深夜ドラマの殺し屋役もSNSで話題に。ムーンライトと言えば毎年のように名作とされる映画やドラマに出演する蒼月しずくのイメージが大半というか、もはやそれだけという事務所。それが一気に大手のイメージとなったのはこの彼女の功績とみて間違いないだろう。
ただ、この時から彼女は海外進出しようと思えばできるのにしなかった。その理由が「家族といたいから」だとメディア各所で公言している。
この「家族」というのが彼女自身の家族のことだと多くの人は理解した。ただ、どうもその見方が正確でないとする観衆もいる。それはこのムーンライトという事務所が他に類をみないぐらいに団結力のあるところだからだ。その証拠にこの事務所に所属するタレントは皆、メディアで同事務所の話をするときにもの凄く喜々と話しだす。ハスキーボイスで言葉数少なめな奥沢ですら別人のようにその声色すら変えて話すぐらい。
だからムーンライト買収の時の騒動ときたら相当なショックがあっただろう。
でも、それも「業務提携」で落ち着き和気あいあいとしだした時のこと。
ドロップアウトのキャスト変更が発表されたのだ。
それも「山崎生吹役の奥沢芽衣が交代」と。
誰がその後続になるのかは未定とした。ならば「降板」と表記されてもいいと思うが、そのようなこともしない。奥沢のSNS更新は途絶えてファンはあらぬ不安と焦燥に駆られる。ところがドロップアウト第4章の放送がクライマックスへと突入するなかで突如彼女のSNSがポストされる。彼女は韓国ソウルにいた。ポーズをきめた彼女の写真。ハングル語で「준비 중」と。
『そうだね。降板っていうとネガティブに感じられるだろうし、交代っていう事にした。交代だから代役は勿論いるし、彼女とちゃんと話もつけている。どんなことがこれから起きるか楽しみにして欲しい』
賢治は傑とのポットキャスティングでそう話す。
どうやら世間は彼らの話題作りにやられているようにみえる。
ドロップアウトの最終回。歌舞伎俳優で若手売れっ子の仲村三之丞、さらには「ブラック企業によろしく」以来のダテケン作品へ出演となったロックたけし、トドメとばかりに伝説の女優と謳われてやまない彼女が画面に映ったのだ。
『ニコチンがないとやっぱイライラしちゃうな』
日暮涼花。
日本の最強芸能育成組織と謳われる宝束歌劇隊出身の大物女優だ。
地元の高校を卒業して憧れだった宝束歌劇隊入団。卓越したお芝居と歌その他諸々の才能が評価されて花形の王子様役に定着。間もなく座長も務めるように。歌劇隊所属は33歳までだが異例の43歳まで勤めあげ抜く。ただこの43歳になった時に新体制となった歌劇隊の運営と衝突。ただならぬ確執が生じて決別を双方が宣言。以降は虚・ミゼラブルに宝束プリンスという肩書きで移籍。ドラマや映画の俳優もこなしてゆくように。30代からはテレビドラマや映画の出演はあったが、あの時よりもこの時はいやまして活躍をみせ、日本映像アカデミーでドラマ部門の主演女優賞を2年連続での受賞、翌年には映画部門での主演女優賞受賞。所属事務所を大手の虚・ミゼラブルから業界最大大手ギャロップにする。日本の女優といえば彼女こそがその代表格に他ならなかった。
しかしそんな折にとあるスキャンダルが取沙汰される。シャニーズ所属にして国民的タレントになりかけた妻子持ちの山口仁との不倫報道が大体的にとりあげられたのだ。山口はすぐにお詫びをして活動自粛に入った。しかし日暮サイドは「お騒がせして誠にすいませんでした」の書面を事務所が発表したのみで本人は活動を自粛せずに続けるとした。さすがに世間は黙らない。とりわけテレビ局の芸能関係は彼女の反省を追求する動きへ大体的にでる。
これを受けて大河ドラマやCMの降板がよぎなくされてギャロップの退社及び芸能活動の無期限停止を自ら記者会見を開いて発表。「せいせいした」という声があがったいっぽうで「もったいない。いつか復帰して欲しいな」という声も一般から負けないぐらいにあがる。この時に「ここまでがんばった自分のことぐらいせめて自分だけでも褒めてあげたい」と涙ながらの言葉を残す。この舞台裏には日暮を憎む宝束歌劇隊の魔の手もあったとされる。山口ともども彼女はテレビに映らなくなった。
『オイラはおかしいと思うよ! ちゃんと謝ったのに何で彼女の人生を奪うまでやるの!? 人を殺したワケでもないでしょうが!?』
監督として彼女を主演に抜擢した経緯があるロックたけしは震える怒りを露わにみせた。彼が映画監督をやめたのもこの出来事から――
そのまま芸能界を去ったと思われた彼女だったが、10年の年月を経てなんと女優活動再開。クリスタルエデンで分派した「夢想萌芽」に所属するという形に。この展開に世間は度肝を抜かれるが、まずは何よりもその発表をおこなった記者会見でみせた彼女の姿が話題をさらう。髪は完全な白髪になっていて、目に隈がうっすらみえるほどの不健康な状態。ところが本人のコメントは前向きなものが多く「これまではでることのなかったバラエティ番組にもでたいし、機会があるならお笑いにも挑戦したい」とあまりにもギャップがあるもの。
夢想萌芽の旗揚げとほぼ同時のタイミングでこの発表は行われる。夢想萌芽はクリスタルエデン所属だったお笑いコンビ・瑞祥を中心に彼女たちの地元である兵庫県宝塚市を拠点とする芸能事務所だ。元々そのような起業をしたいと瑞姫が言っていたことから構想はあったとされる。ここにクリスタルエデンのサポートなるものをつけるということでこのような形になったのだ。その旗揚げと同時に所属タレントとして日暮涼花が入るのはあまりにも衝撃度が高い。更に同事務所には歌手のMinatoや女優の叶葉子も電撃移籍を発表する。
このような起業人としての独立を支援するシステムがクリスタルエデンにある。それはこのあと続々とそういった現象が生じて明白になるのだが、それはさらに先の話になる。
ただ、ここで忘れてはならない事がある。
兵庫県宝塚市は宝束歌劇隊の本部本拠地の劇場がある地。
そして何の運命なのだろうか。
宝束歌劇隊で逮捕者がでる「いじめ事件」が発生したのだ――
3夜続けてのお付き合い!ありがとうございました!
いやぁ目まぐるしいですね(笑)でも、これぐらい「話題作り」でどれだけ勝てるかだと思うんですよ。
エンタメの世界ってね。次回は7月20日の更新予定です(#^.^#)




