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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
時雨堂へ戻った夜。
凛の本は、少しずつ白紙になっていた。
ページが消えていく。
人生そのものが削られている。
「止める方法は?」
雫が聞く。
だが栞は苦しそうに首を振った。
「前例がない」
ハルが静かに言う。
「空白化は、“存在の帳尻合わせ”よ」
「帳尻合わせ?」
「本来消えるはずだった歪みを、世界が修正してる」
つまり。
救われすぎた運命の代わりに、誰かが消される。
雫は震える。
「そんなの絶対おかしい」
その時。
凛の本から、一枚の写真が落ちた。
文化祭の写真。
だが。
凛の部分だけ、黒く塗り潰されていた。
雫は息を呑む。
本当に、世界から消え始めている。
その瞬間。
玲が突然、本棚へ拳を叩きつけた。
「……ふざけんな」
珍しく感情を露わにしていた。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




