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運命の栞  作者: あーちゃん


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96/150

96ページ

人はきっと、誰かに救われながら生きています。


大きな言葉じゃなくてもいい。

たった一言。

たった一つの優しさ。

それだけで、生きようと思える夜があります。


この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。


けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。


苦しみながらも誰かを想うこと。

忘れたくないと願うこと。

誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。


そんな、不器用で優しい人たちの姿です。


もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。

この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。


『時雨堂に、雪は降りつづく』


どうか最後まで、見届けてください。


時雨堂へ戻った夜。


凛の本は、少しずつ白紙になっていた。


ページが消えていく。


人生そのものが削られている。


「止める方法は?」


雫が聞く。


だが栞は苦しそうに首を振った。


「前例がない」


ハルが静かに言う。


「空白化は、“存在の帳尻合わせ”よ」


「帳尻合わせ?」


「本来消えるはずだった歪みを、世界が修正してる」


つまり。


救われすぎた運命の代わりに、誰かが消される。


雫は震える。


「そんなの絶対おかしい」


その時。


凛の本から、一枚の写真が落ちた。


文化祭の写真。


だが。


凛の部分だけ、黒く塗り潰されていた。


雫は息を呑む。


本当に、世界から消え始めている。


その瞬間。


玲が突然、本棚へ拳を叩きつけた。


「……ふざけんな」


珍しく感情を露わにしていた。

最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。


この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。


誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。




全部を救いたい。

誰も傷ついてほしくない。


そう願っても、現実は簡単ではありません。


それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。


その小さな希望を、この物語に込めました。


雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。

そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。


人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。


もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。

それが、この作品にとって何よりの救いです。


あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。


本当にありがとうございました。

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