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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
凛は普通の高校生だった。
成績優秀。
友達も多い。
だが本には、奇妙な記述が並んでいた。
『クラスメイトが彼女を認識できなくなる』
『写真から姿が消える』
『家族ですら記憶を失う』
雫の背筋が寒くなる。
「こんなの……」
玲はページを閉じる。
「空白化は、時雨堂の侵食現象だ」
本来なら深層書庫だけで起こるはずだった。
だが今は現実世界まで広がっている。
栞が静かに言う。
「雫の再編で均衡は戻った。でも副作用が出てる」
雫は俯く。
「私のせい……」
玲はすぐ否定した。
「違う」
だがその声にも迷いがあった。
完全に否定できないのだ。
その時。
雫の頭に、またノイズが走る。
玲の顔を見る。
胸が痛む。
なのに思い出せない。
「……なんで泣きそうになるんだろ」
玲の瞳が揺れた。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




