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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
放課後。
雫は一人で時雨堂へ向かった。
扉を開く。
カラン――。
玲がカウンターに座っていた。
静かな空気。
なぜか少し気まずい。
玲は立ち上がる。
「体調は」
「平気」
短い会話。
以前なら、もっと自然だった気がする。
でも今は距離がある。
雫は胸の奥がチクリと痛んだ。
その時。
本棚から一冊の本が落ちる。
『佐倉凛 17歳』
ページが勝手に開いた。
『彼女は“存在を消される”』
空気が変わる。
雫は眉をひそめる。
「存在を消されるって……?」
玲の顔色が変わった。
「……最悪だ」
「何?」
玲は低く呟く。
「“空白化”が始まってる」
栞も険しい顔だった。
「時雨堂の歪みが、外へ漏れ始めてる」
つまり。
記憶だけじゃない。
人そのものが、“無かったこと”になり始めている。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




