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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
翌朝。
雫は学校へ向かっていた。
だが頭の中が妙に空っぽだった。
玲。
名前は分かる。
でも。
どうして自分にとって大切だったのか、思い出せない。
「……変なの」
その時。
湊が後ろから駆けてきた。
「雫!」
雫は振り向く。
その瞬間、少し安心した。
湊の記憶はちゃんと残っている。
「顔色悪いぞ」
「ちょっと寝不足」
湊は心配そうに覗き込む。
「最近ほんと無理してるだろ」
優しい声。
雫はふと考える。
もし普通に生きていたら。
時雨堂なんて知らなければ。
こんな日常を続けていられたのだろうか。
その時。
通学路の向こうに、一瞬だけ黒い霧が見えた。
「っ……」
人混みの中。
誰かの頭上に、黒く染まった本が浮いている。
また新しい運命。
時雨堂は、まだ終わっていなかった。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




