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運命の栞  作者: あーちゃん


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92/150

92ページ

人はきっと、誰かに救われながら生きています。


大きな言葉じゃなくてもいい。

たった一言。

たった一つの優しさ。

それだけで、生きようと思える夜があります。


この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。


けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。


苦しみながらも誰かを想うこと。

忘れたくないと願うこと。

誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。


そんな、不器用で優しい人たちの姿です。


もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。

この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。


『時雨堂に、雪は降りつづく』


どうか最後まで、見届けてください。


翌朝。


雫は学校へ向かっていた。


だが頭の中が妙に空っぽだった。


玲。


名前は分かる。


でも。


どうして自分にとって大切だったのか、思い出せない。


「……変なの」


その時。


湊が後ろから駆けてきた。


「雫!」


雫は振り向く。


その瞬間、少し安心した。


湊の記憶はちゃんと残っている。


「顔色悪いぞ」


「ちょっと寝不足」


湊は心配そうに覗き込む。


「最近ほんと無理してるだろ」


優しい声。


雫はふと考える。


もし普通に生きていたら。


時雨堂なんて知らなければ。


こんな日常を続けていられたのだろうか。


その時。


通学路の向こうに、一瞬だけ黒い霧が見えた。


「っ……」


人混みの中。


誰かの頭上に、黒く染まった本が浮いている。


また新しい運命。


時雨堂は、まだ終わっていなかった。

最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。


この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。


誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。




全部を救いたい。

誰も傷ついてほしくない。


そう願っても、現実は簡単ではありません。


それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。


その小さな希望を、この物語に込めました。


雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。

そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。


人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。


もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。

それが、この作品にとって何よりの救いです。


あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。


本当にありがとうございました。

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