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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
光の中で。
雫は、美優の小さな手を握っていた。
温かい。
「お兄ちゃん……?」
美優が小さく呟く。
透の呼吸が止まる。
「……え」
美優の目から涙が零れた。
「お兄ちゃん、泣かないで」
その瞬間。
透の中で、失われていた記憶が一気に戻る。
妹と過ごした日々。
笑い声。
約束。
透は崩れるように泣き出した。
「……みゆ」
美優も泣きながら透へ抱きつく。
雫はその光景を見て、安堵の息を漏らした。
救えた。
だが次の瞬間。
雫の身体が大きく透ける。
「っ……!」
玲がすぐ抱き止めた。
「雫!!」
視界がぼやける。
音が遠い。
そして。
雫の耳元で、書庫主が静かに囁いた。
『代償を回収する』
その瞬間。
雫の中から、“玲との最初の記憶”が消えていった。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




