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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
雫は迷わなかった。
「やる」
玲がすぐ腕を掴む。
「駄目だ!」
「でも!」
「これ以上使えば、本当に戻れなくなる!」
雫は玲を見る。
玲の目は、泣きそうだった。
でも。
透の姿を見てしまった。
妹を失う痛みを。
もう一度、絶望する姿を。
放っておけない。
雫はそっと玲の手を握る。
「……ごめん」
そして。
美優の本へ触れた。
瞬間。
大量の記憶が流れ込む。
幼い透。
妹と笑う日々。
病院。
願い。
『妹を助けたい』
その強い感情が、雫の胸へ突き刺さる。
涙が溢れた。
「絶対、消させない……!」
雫の身体から白い光が溢れ出す。
黒い霧とぶつかり合う。
書庫主が低く唸った。
『規定外干渉』
深層書庫が大きく揺れ始めた。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




