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運命の栞  作者: あーちゃん


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89/150

89ページ

人はきっと、誰かに救われながら生きています。


大きな言葉じゃなくてもいい。

たった一言。

たった一つの優しさ。

それだけで、生きようと思える夜があります。


この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。


けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。


苦しみながらも誰かを想うこと。

忘れたくないと願うこと。

誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。


そんな、不器用で優しい人たちの姿です。


もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。

この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。


『時雨堂に、雪は降りつづく』


どうか最後まで、見届けてください。


雫は迷わなかった。


「やる」


玲がすぐ腕を掴む。


「駄目だ!」


「でも!」


「これ以上使えば、本当に戻れなくなる!」


雫は玲を見る。


玲の目は、泣きそうだった。


でも。


透の姿を見てしまった。


妹を失う痛みを。


もう一度、絶望する姿を。


放っておけない。


雫はそっと玲の手を握る。


「……ごめん」


そして。


美優の本へ触れた。


瞬間。


大量の記憶が流れ込む。


幼い透。

妹と笑う日々。

病院。

願い。


『妹を助けたい』


その強い感情が、雫の胸へ突き刺さる。


涙が溢れた。


「絶対、消させない……!」


雫の身体から白い光が溢れ出す。


黒い霧とぶつかり合う。


書庫主が低く唸った。


『規定外干渉』


深層書庫が大きく揺れ始めた。

最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。


この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。


誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。




全部を救いたい。

誰も傷ついてほしくない。


そう願っても、現実は簡単ではありません。


それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。


その小さな希望を、この物語に込めました。


雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。

そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。


人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。


もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。

それが、この作品にとって何よりの救いです。


あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。


本当にありがとうございました。

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