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運命の栞  作者: あーちゃん


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88/150

88ページ

人はきっと、誰かに救われながら生きています。


大きな言葉じゃなくてもいい。

たった一言。

たった一つの優しさ。

それだけで、生きようと思える夜があります。


この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。


けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。


苦しみながらも誰かを想うこと。

忘れたくないと願うこと。

誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。


そんな、不器用で優しい人たちの姿です。


もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。

この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。


『時雨堂に、雪は降りつづく』


どうか最後まで、見届けてください。


「……みゆ?」


透の声が震える。


美優はぼんやりと透を見る。


だが。


「……誰?」


透の表情が崩れる。


美優は何も覚えていない。


それでも透は震える手を伸ばした。


「俺だよ……」


だがその瞬間。


美優の身体に黒い文字が浮かび上がる。


『存在矛盾』


空間が歪む。


玲が叫ぶ。


「離れろ!」


黒い霧が美優を包み込む。


彼女の身体が消えかけていた。


透は必死に抱きしめる。


「やめろ!!」


その姿を見て、雫の胸が締めつけられる。


透は今も、妹を愛してる。


忘れても。


覚えてなくても。


ずっと。


その時。


雫の人生の本が、再び光り始めた。


『修正権限、一時移譲』


栞が目を見開く。


「雫!」


雫は本能的に理解する。


今なら、美優を救える。


でも。


代償は必ず来る。

最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。


この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。


誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。




全部を救いたい。

誰も傷ついてほしくない。


そう願っても、現実は簡単ではありません。


それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。


その小さな希望を、この物語に込めました。


雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。

そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。


人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。


もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。

それが、この作品にとって何よりの救いです。


あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。


本当にありがとうございました。

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