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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
翌日。
雫は美咲の学校へ向かった。
もちろん部外者だ。
教師に止められる。
「関係者以外は――」
だがその時。
「雫?」
振り向くと、幼なじみの如月湊が立っていた。
「なんでここに?」
「え、いや……」
湊は明るく笑う。
昔から人気者だった。
雫とは正反対。
「困ってるなら手伝うよ」
なぜか断れなかった。
二人は放課後の教室へ忍び込む。
そこには、美咲の机。
落書きだらけだった。
『キモい』
『消えろ』
雫は唇を噛む。
湊の表情も消える。
「最低だな……」
その時だった。
背後で笑い声。
女子生徒たち。
「なに勝手に入ってんの?」
その目は冷たかった。
美咲をいじめているグループ。
雫は恐怖を感じる。
だが逃げなかった。
「どうしてこんなことするの?」
空気が凍る。
女子の一人が鼻で笑う。
「だって暗いし。ウザいし」
雫は拳を握った。
かつて、自分も似たような視線を向けられたことがある。
だから分かる。
このままじゃ、美咲は本当に壊れる。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




