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運命の栞  作者: あーちゃん


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9ページ

人はきっと、誰かに救われながら生きています。


大きな言葉じゃなくてもいい。

たった一言。

たった一つの優しさ。

それだけで、生きようと思える夜があります。


この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。


けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。


苦しみながらも誰かを想うこと。

忘れたくないと願うこと。

誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。


そんな、不器用で優しい人たちの姿です。


もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。

この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。


『時雨堂に、雪は降りつづく』


どうか最後まで、見届けてください。


翌日。


雫は美咲の学校へ向かった。


もちろん部外者だ。


教師に止められる。


「関係者以外は――」


だがその時。


「雫?」


振り向くと、幼なじみの如月湊が立っていた。


「なんでここに?」


「え、いや……」


湊は明るく笑う。


昔から人気者だった。


雫とは正反対。


「困ってるなら手伝うよ」


なぜか断れなかった。


二人は放課後の教室へ忍び込む。


そこには、美咲の机。


落書きだらけだった。


『キモい』


『消えろ』


雫は唇を噛む。


湊の表情も消える。


「最低だな……」


その時だった。


背後で笑い声。


女子生徒たち。


「なに勝手に入ってんの?」


その目は冷たかった。


美咲をいじめているグループ。


雫は恐怖を感じる。


だが逃げなかった。


「どうしてこんなことするの?」


空気が凍る。


女子の一人が鼻で笑う。


「だって暗いし。ウザいし」


雫は拳を握った。


かつて、自分も似たような視線を向けられたことがある。


だから分かる。


このままじゃ、美咲は本当に壊れる。

最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。


この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。


誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。




全部を救いたい。

誰も傷ついてほしくない。


そう願っても、現実は簡単ではありません。


それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。


その小さな希望を、この物語に込めました。


雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。

そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。


人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。


もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。

それが、この作品にとって何よりの救いです。


あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。


本当にありがとうございました。

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