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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
そこは“記憶庫”と呼ばれる場所だった。
暗闇の中を、無数の光が漂っている。
「これは……」
「人の記憶だ」
玲は一つの光へ触れた。
すると映像が浮かび上がる。
笑っている美咲。
小学生の頃。
隣には母親。
幸せそうだった。
「昔は笑えてたんだ……」
雫は呟く。
玲は次々と記憶を見せた。
中学入学。
クラスの孤立。
陰口。
裏切り。
少しずつ壊れていく心。
雫は苦しくなった。
「見てられない……」
玲は静かに言う。
「でも目を逸らすな。救うなら全部知れ」
その時。
一つの記憶が強く光った。
美咲が絵を描いている。
楽しそうに。
「この子、絵が好きなんだ」
雫は気づく。
机に何枚もイラストが貼ってある。
玲が小さく頷いた。
「人間には、生きる理由の欠片がある」
雫はその光を見つめた。
「……それを守ればいいんだね」
初めて、自分に出来ることが見えた気がした。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




