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運命の栞  作者: あーちゃん


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8ページ

人はきっと、誰かに救われながら生きています。


大きな言葉じゃなくてもいい。

たった一言。

たった一つの優しさ。

それだけで、生きようと思える夜があります。


この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。


けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。


苦しみながらも誰かを想うこと。

忘れたくないと願うこと。

誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。


そんな、不器用で優しい人たちの姿です。


もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。

この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。


『時雨堂に、雪は降りつづく』


どうか最後まで、見届けてください。


そこは“記憶庫”と呼ばれる場所だった。


暗闇の中を、無数の光が漂っている。


「これは……」


「人の記憶だ」


玲は一つの光へ触れた。


すると映像が浮かび上がる。


笑っている美咲。

小学生の頃。

隣には母親。


幸せそうだった。


「昔は笑えてたんだ……」


雫は呟く。


玲は次々と記憶を見せた。


中学入学。

クラスの孤立。

陰口。

裏切り。


少しずつ壊れていく心。


雫は苦しくなった。


「見てられない……」


玲は静かに言う。


「でも目を逸らすな。救うなら全部知れ」


その時。


一つの記憶が強く光った。


美咲が絵を描いている。


楽しそうに。


「この子、絵が好きなんだ」


雫は気づく。


机に何枚もイラストが貼ってある。


玲が小さく頷いた。


「人間には、生きる理由の欠片がある」


雫はその光を見つめた。


「……それを守ればいいんだね」


初めて、自分に出来ることが見えた気がした。

最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。


この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。


誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。




全部を救いたい。

誰も傷ついてほしくない。


そう願っても、現実は簡単ではありません。


それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。


その小さな希望を、この物語に込めました。


雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。

そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。


人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。


もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。

それが、この作品にとって何よりの救いです。


あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。


本当にありがとうございました。

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