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運命の栞  作者: あーちゃん


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7ページ

人はきっと、誰かに救われながら生きています。


大きな言葉じゃなくてもいい。

たった一言。

たった一つの優しさ。

それだけで、生きようと思える夜があります。


この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。


けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。


苦しみながらも誰かを想うこと。

忘れたくないと願うこと。

誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。


そんな、不器用で優しい人たちの姿です。


もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。

この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。


『時雨堂に、雪は降りつづく』


どうか最後まで、見届けてください。


その夜。


時雨堂に戻った雫は、美咲の本を開いた。


ページは増えていた。


『彼女は来週、自ら命を絶つ』


雫の血の気が引く。


「そんな……」


玲は静かに本を閉じた。


「時間がない」


「助けなきゃ……!」


だが玲は厳しい目を向ける。


「同情だけじゃ救えない」


「でも!」


「救うっていうのは、その人が“生きたい”と思える理由を与えることだ」


雫は言葉を失った。


自分にはそんな力があるのだろうか。


栞が紅茶を飲みながら呟く。


「あなた、自分を嫌ってるでしょ」


雫はハッとする。


「だから人の痛みに敏感なの」


栞は続けた。


「でも、自分を救えない人間は、誰かを救う時に壊れるわ」


その言葉が胸に刺さる。


雫は俯いた。


玲が静かに立ち上がる。


「行くぞ」


「え?」


「美咲を助ける方法、探しに」


時雨堂の奥の扉が開く。


その先には――無数の記憶の光が漂っていた。

最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。


この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。


誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。




全部を救いたい。

誰も傷ついてほしくない。


そう願っても、現実は簡単ではありません。


それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。


その小さな希望を、この物語に込めました。


雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。

そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。


人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。


もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。

それが、この作品にとって何よりの救いです。


あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。


本当にありがとうございました。

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