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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
その夜。
時雨堂に戻った雫は、美咲の本を開いた。
ページは増えていた。
『彼女は来週、自ら命を絶つ』
雫の血の気が引く。
「そんな……」
玲は静かに本を閉じた。
「時間がない」
「助けなきゃ……!」
だが玲は厳しい目を向ける。
「同情だけじゃ救えない」
「でも!」
「救うっていうのは、その人が“生きたい”と思える理由を与えることだ」
雫は言葉を失った。
自分にはそんな力があるのだろうか。
栞が紅茶を飲みながら呟く。
「あなた、自分を嫌ってるでしょ」
雫はハッとする。
「だから人の痛みに敏感なの」
栞は続けた。
「でも、自分を救えない人間は、誰かを救う時に壊れるわ」
その言葉が胸に刺さる。
雫は俯いた。
玲が静かに立ち上がる。
「行くぞ」
「え?」
「美咲を助ける方法、探しに」
時雨堂の奥の扉が開く。
その先には――無数の記憶の光が漂っていた。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




