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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
翌日。
雫は学校を休み、時雨堂から渡された住所へ向かった。
古い団地。
曇った空。
本に書かれていた通り、美咲は一人で公園のブランコに座っていた。
小柄で、長い黒髪。
俯いたまま動かない。
雫は緊張しながら近づく。
「あの……」
美咲は驚いたように顔を上げた。
その目は、ひどく疲れていた。
「誰?」
「えっと……朝比奈雫です」
意味不明な自己紹介だった。
だが、美咲は小さく笑った。
「変な人」
その笑顔が、なぜか痛々しかった。
雫は隣に座る。
沈黙。
風だけが吹く。
やがて美咲が呟いた。
「私、消えたいんだ」
胸が締めつけられる。
本に書かれていた通りだった。
「学校、つらいの?」
美咲は何も答えない。
代わりに腕を隠した。
その瞬間、雫は見てしまう。
無数の傷跡。
息が止まった。
「……誰にも言わないで」
消えそうな声だった。
雫は強く拳を握る。
助けたい。
本気で、そう思った。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




