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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
「違う」
雫は小さく呟いた。
透が振り向く。
雫は涙を拭う。
「確かに苦しみは残るかもしれない」
美咲も。
由紀も。
遥香も。
完全に幸せになれたわけじゃない。
でも。
「それでも、生きてる」
透の目が揺れる。
「苦しみながらでも、前に進こうとしてる」
雫は拳を握る。
「だったら、その未来を守りたい」
その瞬間。
世界にヒビが入る。
書庫主の声が響く。
『矛盾』
「うん、矛盾だよ」
雫は叫ぶ。
「人間なんて、ずっと矛盾してる!」
苦しいのに生きたい。
傷つくのに愛したい。
それでも進む。
それが人間だ。
透は呆然と雫を見つめていた。
そして。
ほんの少しだけ笑った。
「……お前、馬鹿だな」
雫も涙を流しながら笑う。
「知ってる」
その時。
空間が再び崩れ始めた。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




