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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
景色が再び変わる。
今度は病院だった。
白い廊下。
その奥に、小さな女の子がいる。
透の妹だった。
元気そうに笑っている。
「お兄ちゃん!」
透の表情が凍る。
少女は透の前まで来る。
だが。
「……誰?」
透の呼吸が止まった。
妹は不思議そうに首を傾げる。
「お兄ちゃん、どこ?」
透の姿が見えていない。
雫は息を呑む。
これが。
透が失った世界。
妹は助かった。
でも。
透自身が、“妹の人生から消えた”。
透は震える声で呟く。
「俺は、助けたかっただけだった」
その言葉が痛かった。
雫は何も言えない。
透は苦しそうに目を閉じる。
「だから怖いんだよ」
優しい人間ほど。
全部を救おうとして、自分を消してしまう。
その時。
病院の窓ガラスに、黒い影が映る。
書庫主だった。
『選べ』
低い声が響く。
『犠牲なき救済は存在しない』
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




