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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
「やめてぇぇっ!!」
雫は叫ぶ。
だが声は届かない。
美咲の身体が、夕焼けの中へ消えていく。
その瞬間。
世界が大きく揺れた。
次の景色。
暗いアパート。
由紀が一人で座り込んでいる。
隣には、小さな布団。
動かない娘。
「……っ」
雫は口元を押さえる。
これは。
助けられなかった未来。
遥香もいた。
会社の屋上。
誰にも気づかれず、静かに消えていく。
修司は、妻の写真を見つめながら泣いていた。
「誰だったかな……」
完全に忘れている。
雫の足が震える。
透は静かに言った。
「これが、本来の運命」
雫は涙を流しながら叫ぶ。
「でも助けられたじゃん!!」
透の目が揺れる。
「……ああ」
「だったら意味あったよ!」
透は苦しそうに笑う。
「じゃあ、その代償で壊れた人間はどうなる」
空気が凍った。
その問いに、雫は答えられなかった。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




