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運命の栞  作者: あーちゃん


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73/150

73ページ

人はきっと、誰かに救われながら生きています。


大きな言葉じゃなくてもいい。

たった一言。

たった一つの優しさ。

それだけで、生きようと思える夜があります。


この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。


けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。


苦しみながらも誰かを想うこと。

忘れたくないと願うこと。

誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。


そんな、不器用で優しい人たちの姿です。


もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。

この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。


『時雨堂に、雪は降りつづく』


どうか最後まで、見届けてください。


「やめてぇぇっ!!」


雫は叫ぶ。


だが声は届かない。


美咲の身体が、夕焼けの中へ消えていく。


その瞬間。


世界が大きく揺れた。


次の景色。


暗いアパート。


由紀が一人で座り込んでいる。


隣には、小さな布団。


動かない娘。


「……っ」


雫は口元を押さえる。


これは。


助けられなかった未来。


遥香もいた。


会社の屋上。


誰にも気づかれず、静かに消えていく。


修司は、妻の写真を見つめながら泣いていた。


「誰だったかな……」


完全に忘れている。


雫の足が震える。


透は静かに言った。


「これが、本来の運命」


雫は涙を流しながら叫ぶ。


「でも助けられたじゃん!!」


透の目が揺れる。


「……ああ」


「だったら意味あったよ!」


透は苦しそうに笑う。


「じゃあ、その代償で壊れた人間はどうなる」


空気が凍った。


その問いに、雫は答えられなかった。

最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。


この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。


誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。




全部を救いたい。

誰も傷ついてほしくない。


そう願っても、現実は簡単ではありません。


それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。


その小さな希望を、この物語に込めました。


雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。

そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。


人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。


もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。

それが、この作品にとって何よりの救いです。


あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。


本当にありがとうございました。

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