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運命の栞  作者: あーちゃん


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71/150

71ページ

人はきっと、誰かに救われながら生きています。


大きな言葉じゃなくてもいい。

たった一言。

たった一つの優しさ。

それだけで、生きようと思える夜があります。


この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。


けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。


苦しみながらも誰かを想うこと。

忘れたくないと願うこと。

誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。


そんな、不器用で優しい人たちの姿です。


もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。

この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。


『時雨堂に、雪は降りつづく』


どうか最後まで、見届けてください。


「全部救う」


その言葉が響いた瞬間、深層書庫の空気が変わった。


黒い霧が揺らぐ。


書庫主がゆっくり雫を見下ろした。


『不可能』


低い声。


だが雫は目を逸らさなかった。


「それでも諦めない」


玲が驚いたように雫を見る。


透は苦しそうに眉を寄せた。


「理想論だ」


「うん、分かってる」


雫は震えながらも続ける。


「でも、誰かを犠牲にするしかないって決めつけたら、もう終わりだと思う」


その瞬間。


雫の人生の本が強く光り始める。


ページが勝手にめくられ、白紙だった部分に新しい文字が浮かぶ。


『観測外の可能性を確認』


栞が息を呑んだ。


「時雨堂が……未来を書き換えてる」


ハルも目を細める。


「ありえないわ」


書庫主が一歩前へ出る。


巨大な影が揺れる。


『証明しろ』


その声と同時に、空間が歪んだ。


雫たちの足元に、巨大な円陣が浮かび上がる。


玲が顔色を変えた。


「雫、離れろ!」


だが遅かった。


世界が白く弾け飛んだ。

最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。


この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。


誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。




全部を救いたい。

誰も傷ついてほしくない。


そう願っても、現実は簡単ではありません。


それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。


その小さな希望を、この物語に込めました。


雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。

そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。


人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。


もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。

それが、この作品にとって何よりの救いです。


あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。


本当にありがとうございました。

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