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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
「全部救う」
その言葉が響いた瞬間、深層書庫の空気が変わった。
黒い霧が揺らぐ。
書庫主がゆっくり雫を見下ろした。
『不可能』
低い声。
だが雫は目を逸らさなかった。
「それでも諦めない」
玲が驚いたように雫を見る。
透は苦しそうに眉を寄せた。
「理想論だ」
「うん、分かってる」
雫は震えながらも続ける。
「でも、誰かを犠牲にするしかないって決めつけたら、もう終わりだと思う」
その瞬間。
雫の人生の本が強く光り始める。
ページが勝手にめくられ、白紙だった部分に新しい文字が浮かぶ。
『観測外の可能性を確認』
栞が息を呑んだ。
「時雨堂が……未来を書き換えてる」
ハルも目を細める。
「ありえないわ」
書庫主が一歩前へ出る。
巨大な影が揺れる。
『証明しろ』
その声と同時に、空間が歪んだ。
雫たちの足元に、巨大な円陣が浮かび上がる。
玲が顔色を変えた。
「雫、離れろ!」
だが遅かった。
世界が白く弾け飛んだ。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




