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運命の栞  作者: あーちゃん


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70/150

70ページ

人はきっと、誰かに救われながら生きています。


大きな言葉じゃなくてもいい。

たった一言。

たった一つの優しさ。

それだけで、生きようと思える夜があります。


この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。


けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。


苦しみながらも誰かを想うこと。

忘れたくないと願うこと。

誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。


そんな、不器用で優しい人たちの姿です。


もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。

この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。


『時雨堂に、雪は降りつづく』


どうか最後まで、見届けてください。


その瞬間。


空白の少女が微笑んだ。


『やっと言えたね』


雫はハッとする。


少女の姿が少しずつ変わっていく。


それは。


記憶を失う前の、“本当の朝比奈雫”だった。


泣き虫で。

不器用で。

でも優しかった頃の自分。


「……私」


少女は頷く。


『思い出して』


次の瞬間。


大量の記憶が戻ってくる。


母に抱きしめられた記憶。

湊と笑った日々。

玲と過ごした時間。


涙が止まらない。


そして雫は、初めて理解した。


自分は誰かを救うことで、自分自身も救われていたのだと。


その時。


書庫主が大きく揺れる。


『観測値、変動』


栞が目を見開く。


「ありえない……」


ハルも驚いていた。


「運命が書き換わってる」


玲が雫を見る。


雫は涙を拭った。


そして。


まっすぐ書庫主を見上げる。


「私は、全部救う」


その瞳には、確かな覚悟が宿っていた。

最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。


この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。


誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。




全部を救いたい。

誰も傷ついてほしくない。


そう願っても、現実は簡単ではありません。


それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。


その小さな希望を、この物語に込めました。


雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。

そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。


人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。


もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。

それが、この作品にとって何よりの救いです。


あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。


本当にありがとうございました。

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