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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
その瞬間。
空白の少女が微笑んだ。
『やっと言えたね』
雫はハッとする。
少女の姿が少しずつ変わっていく。
それは。
記憶を失う前の、“本当の朝比奈雫”だった。
泣き虫で。
不器用で。
でも優しかった頃の自分。
「……私」
少女は頷く。
『思い出して』
次の瞬間。
大量の記憶が戻ってくる。
母に抱きしめられた記憶。
湊と笑った日々。
玲と過ごした時間。
涙が止まらない。
そして雫は、初めて理解した。
自分は誰かを救うことで、自分自身も救われていたのだと。
その時。
書庫主が大きく揺れる。
『観測値、変動』
栞が目を見開く。
「ありえない……」
ハルも驚いていた。
「運命が書き換わってる」
玲が雫を見る。
雫は涙を拭った。
そして。
まっすぐ書庫主を見上げる。
「私は、全部救う」
その瞳には、確かな覚悟が宿っていた。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




