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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
本棚が次々と崩れ落ちる。
「下がれ!」
玲が雫を庇った瞬間、黒い本が一斉に飛び出した。
バサバサッ!!
本のページが裂け、黒い霧となって空間を埋め尽くす。
その中に、人影が浮かんでいた。
由紀。
遥香。
修司。
今まで救ってきた人たちだった。
だが様子がおかしい。
瞳が真っ黒に染まっている。
『どうして』
『なんで助けたの』
『苦しい』
雫は青ざめる。
「そんな……!」
ハルが静かに言う。
「運命を無理やり変えられた反動よ」
雫は震えながら叫ぶ。
「違う! あの人たちは生きたいって――」
その時。
遥香の幻影が苦しそうに頭を抱えた。
『未来が分からない……怖い……』
由紀も涙を流している。
『私は、本当に幸せになっていいの?』
救われたはずなのに。
運命を変えたことで、“別の苦しみ”が生まれていた。
透の言葉が蘇る。
『誰かを救えば、別の誰かが壊れる』
雫の心が揺らぎ始める。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




