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運命の栞  作者: あーちゃん


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62ページ

人はきっと、誰かに救われながら生きています。


大きな言葉じゃなくてもいい。

たった一言。

たった一つの優しさ。

それだけで、生きようと思える夜があります。


この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。


けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。


苦しみながらも誰かを想うこと。

忘れたくないと願うこと。

誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。


そんな、不器用で優しい人たちの姿です。


もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。

この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。


『時雨堂に、雪は降りつづく』


どうか最後まで、見届けてください。


本棚が次々と崩れ落ちる。


「下がれ!」


玲が雫を庇った瞬間、黒い本が一斉に飛び出した。


バサバサッ!!


本のページが裂け、黒い霧となって空間を埋め尽くす。


その中に、人影が浮かんでいた。


由紀。

遥香。

修司。


今まで救ってきた人たちだった。


だが様子がおかしい。


瞳が真っ黒に染まっている。


『どうして』


『なんで助けたの』


『苦しい』


雫は青ざめる。


「そんな……!」


ハルが静かに言う。


「運命を無理やり変えられた反動よ」


雫は震えながら叫ぶ。


「違う! あの人たちは生きたいって――」


その時。


遥香の幻影が苦しそうに頭を抱えた。


『未来が分からない……怖い……』


由紀も涙を流している。


『私は、本当に幸せになっていいの?』


救われたはずなのに。


運命を変えたことで、“別の苦しみ”が生まれていた。


透の言葉が蘇る。


『誰かを救えば、別の誰かが壊れる』


雫の心が揺らぎ始める。

最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。


この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。


誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。




全部を救いたい。

誰も傷ついてほしくない。


そう願っても、現実は簡単ではありません。


それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。


その小さな希望を、この物語に込めました。


雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。

そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。


人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。


もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。

それが、この作品にとって何よりの救いです。


あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。


本当にありがとうございました。

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