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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
「そんなの……駄目だよ」
雫は震える声で呟いた。
時雨堂を閉じれば、救った人たちが再び絶望へ戻る。
美咲も。
遥香も。
由紀も。
全部無かったことになる。
「そんな結末、選べない……!」
ハルは静かに雫を見つめる。
「でも、このままなら時雨堂は暴走する」
「暴走?」
栞が苦しそうに目を伏せた。
「運命を書き換えすぎたの」
玲が低く続ける。
「本来、人は簡単に運命を変えちゃいけない」
時雨堂は本来、“ほんの少し背中を押す”程度の場所だった。
だが雫は深く関わりすぎた。
感情ごと。
人生ごと。
だから世界の均衡が崩れ始めている。
「じゃあ私はどうすればいいの……」
答えは返ってこない。
その時。
深層書庫の奥から、無数の本が浮かび上がった。
黒く染まった本たち。
そこから声が響く。
『返せ』
『運命を返せ』
空気が震え始める。
時雨堂が、怒っていた。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




