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運命の栞  作者: あーちゃん


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60ページ

人はきっと、誰かに救われながら生きています。


大きな言葉じゃなくてもいい。

たった一言。

たった一つの優しさ。

それだけで、生きようと思える夜があります。


この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。


けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。


苦しみながらも誰かを想うこと。

忘れたくないと願うこと。

誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。


そんな、不器用で優しい人たちの姿です。


もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。

この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。


『時雨堂に、雪は降りつづく』


どうか最後まで、見届けてください。


「全部消えるって……」


雫の声が震える。


ハルは静かに答えた。


「時雨堂も、あなたたちも」


その瞬間。


雫の人生の本が宙へ浮かび上がる。


ページが激しくめくられる。


そして。


未来の映像が流れ込んだ。


雪の夜。

崩壊する時雨堂。

泣いている玲。


そして。


雫自身が、黒い闇へ飲み込まれていく。


『嫌……!!』


雫は悲鳴を上げた。


映像が消える。


呼吸ができない。


玲がすぐ肩を掴む。


「落ち着け!」


だが雫は震え続ける。


死ぬ。


本当に、自分は消える。


その時。


ハルが静かに雫を見つめた。


「でも方法はある」


空気が止まる。


「時雨堂を閉じればいい」


玲が険しい声を出す。


「……それをやれば」


「ええ」


ハルは微笑む。


「運命を書き換えた全員が、“元の結末”へ戻る」


雫の顔から血の気が引いた。


つまり。


今まで救ってきた人たちが、再び絶望へ戻るということだった。

最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。


この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。


誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。




全部を救いたい。

誰も傷ついてほしくない。


そう願っても、現実は簡単ではありません。


それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。


その小さな希望を、この物語に込めました。


雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。

そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。


人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。


もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。

それが、この作品にとって何よりの救いです。


あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。


本当にありがとうございました。

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