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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
「全部消えるって……」
雫の声が震える。
ハルは静かに答えた。
「時雨堂も、あなたたちも」
その瞬間。
雫の人生の本が宙へ浮かび上がる。
ページが激しくめくられる。
そして。
未来の映像が流れ込んだ。
雪の夜。
崩壊する時雨堂。
泣いている玲。
そして。
雫自身が、黒い闇へ飲み込まれていく。
『嫌……!!』
雫は悲鳴を上げた。
映像が消える。
呼吸ができない。
玲がすぐ肩を掴む。
「落ち着け!」
だが雫は震え続ける。
死ぬ。
本当に、自分は消える。
その時。
ハルが静かに雫を見つめた。
「でも方法はある」
空気が止まる。
「時雨堂を閉じればいい」
玲が険しい声を出す。
「……それをやれば」
「ええ」
ハルは微笑む。
「運命を書き換えた全員が、“元の結末”へ戻る」
雫の顔から血の気が引いた。
つまり。
今まで救ってきた人たちが、再び絶望へ戻るということだった。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




