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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
「誰……?」
雫の問いに、女性はゆっくり振り向いた。
赤い瞳。
どこか栞に似ている。
「私は綴原ハル」
静かな声だった。
栞は唇を噛む。
「……なんで出てきたの」
ハルは微笑む。
「時が来たからよ」
玲が雫を庇うように前へ出る。
「下がってろ」
だがハルは玲を見て、小さく笑った。
「まだその子守ってるんだ」
空気が重い。
雫だけが状況を理解できない。
栞が低く言う。
「ハルは、昔の管理人よ」
雫は目を見開く。
「え……?」
つまり。
栞より前に時雨堂を管理していた存在。
ハルは静かに扉の奥を見る。
「時雨堂は限界よ」
その言葉と同時に。
壁にヒビが入る。
本棚が崩れ始める。
「このままじゃ、全部消える」
雫の心臓が激しく鳴った。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




