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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
黒い扉から、冷たい風が吹き出している。
雫は思わず後ずさった。
「深層書庫って……?」
栞が険しい顔で答える。
「時雨堂の最下層」
「そこには、“消えた運命”が眠ってる」
玲は扉を睨みつける。
「本来なら開くはずがない場所だ」
だが扉はゆっくり開き始める。
ギギギ……。
中は真っ暗だった。
その奥から、無数の声が響く。
『返して』
『忘れたくない』
『助けて』
雫の頭が痛む。
全部、“失われた記憶”の声だった。
その時。
扉の奥から、一人の女性が現れる。
長い黒髪。
白い着物。
その姿を見て、栞が凍りついた。
「……嘘」
玲も顔色を失う。
女性は静かに笑った。
「久しぶりね、栞」
雫は息を呑む。
その女性は、人間じゃなかった。
まるで“物語そのもの”みたいな存在感だった。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




