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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
雫は息を切らしながら時雨堂へ戻った。
「玲!!」
玲は驚いて振り向く。
「どうした」
「思い出したの……母さんを」
玲の目が揺れる。
雫は震えながら続けた。
「優しかった記憶がある」
今まで思い出していた母は、冷たい存在だった。
だが違った。
ちゃんと愛されていた瞬間があった。
玲は静かに目を閉じる。
「空白が返したんだな」
「返した?」
栞が頷く。
「完全に消えた記憶でも、感情が強ければ残ることがある」
雫は涙を流した。
「私、忘れたくない」
その時。
時雨堂全体が大きく揺れる。
ゴゴゴッ――。
本棚から大量の本が落下した。
そして中央に、巨大な扉が現れる。
黒い扉。
玲の顔色が変わった。
「……最悪だ」
「何?」
玲は低く呟く。
「“深層書庫”が開いた」
空気が一変した。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




