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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
夜。
雫は一人で街を歩いていた。
考えがまとまらない。
透の過去。
玲の後悔。
自分の未来。
全部が重かった。
その時。
公園のベンチに、小さな女の子が座っているのが見えた。
白いワンピース。
「あ……!」
空白の少女。
少女は静かに雫を見る。
「待って!」
雫が駆け寄ると、少女は逃げるように歩き出す。
公園の奥。
暗闇。
少女は振り返った。
その顔を見て、雫の呼吸が止まる。
――自分だった。
幼い頃の、自分の顔。
「……なんで」
少女は悲しそうに笑う。
『忘れないで』
その瞬間。
大量の記憶が流れ込む。
泣いている幼い雫。
怒鳴り声。
暗い部屋。
「やめて……!」
雫は頭を抱える。
だが映像は止まらない。
そして。
一人の女性が、幼い雫を抱きしめていた。
「……お母さん?」
思い出したことのない、優しい母の顔だった。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




