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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
静寂。
雫は床に膝をついていた。
胸が苦しい。
透が壊れた理由を、知ってしまった。
玲は黒い本を閉じる。
「見るなって言っただろ」
その声は震えていた。
雫は涙を拭う。
「玲は……知ってたの?」
「ああ」
「どうして止めなかったの……!」
玲は俯く。
「止められなかった」
その言葉には後悔が滲んでいた。
栞が静かに言う。
「時雨堂は願いを叶える。でも代償は選べない」
雫は唇を噛む。
透は妹を救った。
なのに、妹との思い出を全部奪われた。
それは本当に“救い”なのか。
その時。
雫の脳裏に、白いワンピースの少女が浮かぶ。
『返して』
あの声の意味が、少しだけ分かった気がした。
失った記憶は、ずっと泣いている。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




