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運命の栞  作者: あーちゃん


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54/150

54ページ

人はきっと、誰かに救われながら生きています。


大きな言葉じゃなくてもいい。

たった一言。

たった一つの優しさ。

それだけで、生きようと思える夜があります。


この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。


けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。


苦しみながらも誰かを想うこと。

忘れたくないと願うこと。

誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。


そんな、不器用で優しい人たちの姿です。


もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。

この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。


『時雨堂に、雪は降りつづく』


どうか最後まで、見届けてください。


「透の本……?」


雫は息を呑む。


玲の顔色が変わる。


「触るな」


だが遅かった。


黒い本が勝手に開く。


瞬間。


大量の記憶が流れ込んだ。


幼い透。

笑っている少女。


『お兄ちゃん!』


妹だった。


二人は貧しいながらも幸せそうだった。


だが場面が変わる。


病院。

余命宣告。


透は泣きながら時雨堂へ来ていた。


『妹を助けてください』


玲が若い。


栞も今より少し幼い姿だった。


そして。


運命改変。


少女は助かった。


だが次の瞬間。


透の記憶から、“妹の存在”だけが消えていく。


『……誰を助けたんだっけ』


透が崩れ落ちる。


雫は涙を流していた。


こんなの、あまりにも残酷だ。


映像の最後。


透が玲へ叫ぶ。


『こんなの救いじゃない!!』


そこで記憶は途切れた。

最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。


この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。


誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。




全部を救いたい。

誰も傷ついてほしくない。


そう願っても、現実は簡単ではありません。


それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。


その小さな希望を、この物語に込めました。


雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。

そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。


人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。


もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。

それが、この作品にとって何よりの救いです。


あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。


本当にありがとうございました。

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