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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
「透の本……?」
雫は息を呑む。
玲の顔色が変わる。
「触るな」
だが遅かった。
黒い本が勝手に開く。
瞬間。
大量の記憶が流れ込んだ。
幼い透。
笑っている少女。
『お兄ちゃん!』
妹だった。
二人は貧しいながらも幸せそうだった。
だが場面が変わる。
病院。
余命宣告。
透は泣きながら時雨堂へ来ていた。
『妹を助けてください』
玲が若い。
栞も今より少し幼い姿だった。
そして。
運命改変。
少女は助かった。
だが次の瞬間。
透の記憶から、“妹の存在”だけが消えていく。
『……誰を助けたんだっけ』
透が崩れ落ちる。
雫は涙を流していた。
こんなの、あまりにも残酷だ。
映像の最後。
透が玲へ叫ぶ。
『こんなの救いじゃない!!』
そこで記憶は途切れた。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




