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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
透はガードレールに寄りかかり、静かに雫を見ていた。
「それ以上進めば、普通には戻れない」
雫は睨む。
「また止めに来たの?」
「忠告だ」
透は街を見渡す。
「人の運命が見えるようになったら終わりだ」
雫は拳を握る。
「でも救えるなら――」
「違う」
透は遮った。
「あれは“侵食”だ」
空気が冷える。
「お前の人生が、時雨堂側に引っ張られてる」
雫は息を呑む。
時雨堂側。
つまり、人ではなくなっていくということ。
透は小さく笑う。
「玲を見れば分かるだろ」
雫は言葉を失った。
戸籍も過去もない存在。
あれが、この先の自分?
透は最後に言った。
「まだ戻れる」
そして去っていく。
残された雫は、自分の手を見つめた。
指先が、少し透けていた。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




