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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
翌朝。
雫は自室の天井をぼんやり見つめていた。
昨夜の記憶が曖昧だった。
時雨堂。
由紀。
泣き声。
全部、夢みたいに遠い。
スマホを見る。
壁紙の写真に映る湊を見て、少し安心した。
「……まだ覚えてる」
小さく呟く。
だがその瞬間。
写真の中の“思い出”がぼやける。
いつ撮ったのか分からない。
胸がざわついた。
学校へ向かう途中、雫は奇妙な違和感に気づく。
街の色が薄い。
人の輪郭も、どこか曖昧だった。
そして。
信号待ちをしていた女性の頭上に、“本”が見えた。
半透明の人生の本。
「……え?」
瞬きをすると消える。
だが次の瞬間、別の人にも見えた。
無数の本。
街中に漂う、人々の運命。
雫は青ざめる。
力が強くなりすぎている。
その時。
背後から声がした。
「見え始めたか」
振り向く。
神代透だった。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




