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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
夜。
雫たちは由紀のアパートへ向かった。
部屋の前から、子供の泣き声が聞こえる。
雫は急いでドアを叩く。
「真田さん!」
返事はない。
だが中から物音がする。
玲がドアを開けた。
部屋は荒れていた。
そして。
由紀が包丁を握って立っていた。
娘は隅で泣いている。
「来ないで……!」
由紀の目は完全に追い詰められていた。
雫はゆっくり近づく。
「一人で頑張りすぎたんですね」
由紀の肩が震える。
「……うるさい」
「助けてって言えなかったんですよね」
その瞬間。
由紀の目から涙が溢れた。
「もう無理なの……!」
雫は泣きそうになりながら叫ぶ。
「無理じゃない!」
包丁が震える。
由紀もまた、救われたかっただけなのだ。
その時。
雫の頭に激痛が走る。
また何かが消える。
けれど。
それでも、目の前の命を放っておけなかった。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




