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運命の栞  作者: あーちゃん


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43/150

43ページ

人はきっと、誰かに救われながら生きています。


大きな言葉じゃなくてもいい。

たった一言。

たった一つの優しさ。

それだけで、生きようと思える夜があります。


この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。


けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。


苦しみながらも誰かを想うこと。

忘れたくないと願うこと。

誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。


そんな、不器用で優しい人たちの姿です。


もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。

この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。


『時雨堂に、雪は降りつづく』


どうか最後まで、見届けてください。


翌日。


雫は学校で湊を見つめていた。


笑っている。


友達と話している。


いつも通りだ。


なのに。


“死ぬ未来”が頭から離れない。


「どうした?」


湊が笑いながら近づく。


雫は無理やり笑った。


「なんでもない」


だが湊はすぐ気づく。


「嘘つけ」


昔から、湊は雫の変化に敏感だった。


その優しさが今は苦しい。


「湊……」


「ん?」


雫は言いかけて止まる。


死ぬかもしれないなんて、言えるわけがない。


その時。


雫の視界に、一瞬だけ黒い影が映った。


校舎の屋上。


誰かが立っている。


神代透だった。


透は静かに雫を見下ろしている。


その目は警告するようだった。


『関わるな』


雫は拳を握る。


無理だ。


見捨てられるわけがない。


その瞬間。


頭の中にノイズが走る。


――“湊との思い出”が、少しずつ薄れていく感覚。


「……え?」


恐怖で血の気が引いた。

最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。


この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。


誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。




全部を救いたい。

誰も傷ついてほしくない。


そう願っても、現実は簡単ではありません。


それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。


その小さな希望を、この物語に込めました。


雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。

そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。


人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。


もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。

それが、この作品にとって何よりの救いです。


あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。


本当にありがとうございました。

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