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運命の栞  作者: あーちゃん


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44/150

44ページ

人はきっと、誰かに救われながら生きています。


大きな言葉じゃなくてもいい。

たった一言。

たった一つの優しさ。

それだけで、生きようと思える夜があります。


この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。


けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。


苦しみながらも誰かを想うこと。

忘れたくないと願うこと。

誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。


そんな、不器用で優しい人たちの姿です。


もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。

この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。


『時雨堂に、雪は降りつづく』


どうか最後まで、見届けてください。


放課後。


雫は急いで時雨堂へ戻った。


「玲!」


息を切らしながら叫ぶ。


「湊との記憶が消え始めてる……!」


玲の顔色が変わる。


「どの程度だ」


「小学校のことが曖昧で……」


玲は舌打ちする。


「進行が早すぎる」


栞が静かに本棚へ触れる。


すると一冊の本が浮かび上がった。


『記憶侵食』


「これは……?」


栞は重い声で答える。


「大切な存在ほど、代償として奪われやすい」


雫は凍りつく。


「なんで……」


「人間は“絆”で出来てるからよ」


その言葉が胸に刺さる。


つまり。


最後には、大切な人との記憶から消えていく。


雫は涙を堪えた。


「嫌だ……」


その時。


時雨堂の照明がまた揺れる。


バチッ。


黒い霧。


そして奥から、白いワンピースの少女が現れる。


以前見た“空白”。


少女は雫を見つめ、悲しそうに言った。


『思い出して』


次の瞬間。


雫の脳裏に、幼い日の光景が流れ込んだ。

最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。


この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。


誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。




全部を救いたい。

誰も傷ついてほしくない。


そう願っても、現実は簡単ではありません。


それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。


その小さな希望を、この物語に込めました。


雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。

そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。


人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。


もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。

それが、この作品にとって何よりの救いです。


あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。


本当にありがとうございました。

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