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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
放課後。
雫は急いで時雨堂へ戻った。
「玲!」
息を切らしながら叫ぶ。
「湊との記憶が消え始めてる……!」
玲の顔色が変わる。
「どの程度だ」
「小学校のことが曖昧で……」
玲は舌打ちする。
「進行が早すぎる」
栞が静かに本棚へ触れる。
すると一冊の本が浮かび上がった。
『記憶侵食』
「これは……?」
栞は重い声で答える。
「大切な存在ほど、代償として奪われやすい」
雫は凍りつく。
「なんで……」
「人間は“絆”で出来てるからよ」
その言葉が胸に刺さる。
つまり。
最後には、大切な人との記憶から消えていく。
雫は涙を堪えた。
「嫌だ……」
その時。
時雨堂の照明がまた揺れる。
バチッ。
黒い霧。
そして奥から、白いワンピースの少女が現れる。
以前見た“空白”。
少女は雫を見つめ、悲しそうに言った。
『思い出して』
次の瞬間。
雫の脳裏に、幼い日の光景が流れ込んだ。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




